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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
509/1585

7-152 御任せください


「グハッ。」



あまつ神は押さえ、まがつ神は支え。中つ神は戦う。三日三晩、休まず戦い続ける。あがめてくれる人たちは、使わしめに。やしろは、おにに任せて。






思っていたより、ずっと濃い。根の国のモノが混じっているとは、聞いていた。しかし何だ、この闇は。ジトッとネトッと、ベタァァと。


流れ込む思いが、胸を貫く。なぜ人は傷つけるのだろう。なぜ人は奪うのだろう。なぜ人は弄ぶのだろう。なぜ、なぜ、なぜ、なぜ。



これだけの闇を蓄えて、染まらず生きた妖怪。タヤは良い祝だった。皆の幸せを願い、寄り添い、力を尽くした。悪い事は悪いと言い、懇懇こんこんさとす。


タヤには解らなかった。いくさを繰り返し、国を広げる王の考えが。いさめるどころか焚きつける、おみたちの考えが。力を持つ者が望み、喜ぶ事しか言わぬ、社の者の考えが。


あの日。女として殺され、人として殺され、隠にならず妖怪に。一度ひとたびでも憎しみを抱けば、ずっと消えない。時が流れ、傷が塞がっても消えない。それが憎しみ。






「・・・・・・神、耶万神やまのかみは!」


マノが叫ぶ。



耶万やまから溢れた闇に蝕まれ、動けなくなった。耶万神は『放つ』とおおせに。なのに嫌だと言って、巻き付いた。少しでも多く、闇を吸い取ろうと。



「落ち着きなさい。」


「今は、おのの事を。」


「神の御事は、神に御任せしよう。」



目を見開き、ボロボロになりながら闇と戦う、マノを救うために。



「・・・・・・皆さま。」



良い蛇だとは思えない。闇を纏ってトコロ構わず、わざわいを撒き散らしていた。蛇の集まりだって、何も言わずに出なかったコトも。



『神の御事は、神に』か。


使わしめが居るんだ。儺火神なびのかみ岸多神きしたのかみ万十神まとのかみでは無い。耶万に力を御貸しくださる、そのような神が御坐おわすとすれば。


・・・・・・早稲神わさのかみ風見神かぜみのかみ



大祓おおはらえには三柱みはしら。もう一柱は、沼田神ぬまたのかみ? いや違う。この感じ、軍神いくさがみ禍津日神まがつひのかみで在らせられる。殺神あやかみだ!



耶万社を囲む殺神、風見神、早稲神の三柱。私を囲むあや永良部えらぶいつの三蛇。なんと幸せな事だろう。






「ヴヴッ!」


神の御目から御耳から、御口からも、血?


大貝神おおかいのかみ! 御気を確かに。」


使わしめ、オロオロ。



大貝山の統べる地を囲む、具志古神ぐしこのかみ津久間神つくまのかみ海神わだつみのかみの三柱。大貝神を清める気で、いらっしゃる?


耶万を囲う三柱、側に三蛇。隠の世より三柱。六柱三蛇がかりで、闇と戦って御出でだ。



もし今、耶万の闇が暴れ出せば・・・・・・。終わる。


大貝神、シッカリなさいませ! 膝が笑っても膝を折っても、耐え忍んで。解りました。大貝の事は、御任せを。



「つ、土?」


とっても良い笑顔を向ける使わしめに神、キョトン。


「思うまま、御力をふるい為さいませ。」


ニッコォ。


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