7-150 笑ってください
先ず地の神、三柱。耶万社を囲み、闇から神とマノを剥がす。続いて使わしめ、蛇三匹。神からマノを剥がし、備える。
時を同じくして、中つ国。隠の世と人の世から、大貝山の統べる地を囲み、御力を放たれる。九柱の御力が合わさり、渦を巻きながら天に伸びる。
大祓の儀は三日三晩、続く。神も使わしめも命懸け。数多の思いが一つになって、天つ国と根の国へ。
天つ国、中つ国、根の国。三つが繋がり、大いなる柱となるのだ。一柱でも逃げ出せば、天も地も無くなる。
高天原の天つ神、根の国の禍つ神。中つ国の隠神、国つ神。万が一に備え、整え為さる。
天つ神は、天照大御神の社。禍つ神は、伊弉冉尊の社。中つ国、隠神は和山社。国つ神は、迷いの森で。
「グゥワァァァ!」
耶万神が御叫び遊ばす。
「お、気を、確か、にぃ・・・・・・。」
幾ら闇に強くても、隠でも、マノには辛い。
大祓の儀が始まった。そうに違いない。耶万神、良ぉ御座いましたね。三日三晩。耐える事が出来れば、助かります。
どうか、どうか御願いです。私の事は御気に為さらず、儀の事に御力を。耶万神を御救いください。
「ア゛ァァァァァァ!」
キツク巻き付いていたマノが力尽き、スルスルと離れた。トサッと落ちて直ぐ。神を蝕んでいた闇が、ブワッと光の柱へ。
「マノォォ。」
長い間、ありがとうございました。そろそろ、御暇します。お世話に、なりました。・・・・・・さようなら。
「マノォォォ。」
笑ってください。耶万神の優しい笑みが、大好きです。私は隠。闇に堕ちても戻れます。いつか、また会える。そう信じて、笑ってください。
朱、永良部、斎が力を合わせ、マノを引き摺り出した。ココからは蛇の戦い。
大祓の儀は、神の御為。大いなる柱の中では、隠も妖怪も異なるモノ。ほんの少しでも気を抜けば、闇と共に清められる。
「マノさま、起きて。」
「気を確かに。」
「諦めないで。」
・・・・・・。
「神を残して、闇堕ちですか。」
「それでも、使わしめですか。」
「聞こえて、いるのでしょう。」
・・・・・・こ、の、声は・・・・・・。
「さぁ、目を開けて。」
「戦うのです。」
「逃がしませんよ。」
・・・・・・み、な、さん・・・・・・。
マノの体から、ジワジワ色が抜けてゆく。薄く剥かれるような、刺すような痛みがマノを襲う。