7-148 耶万の闇、浄化プロジェクト会議
「耶万。酷いコトに。」
津久間神。
「御隠れ為さったか?」
具志古神。
「闇堕ちは、まだ。」
海神。
大貝山の統べる地は、闇に染まった。
大貝神は闇を閉じ込めるため、社を離れられない。よって三柱。流山の隠の世に集い、話し合い為さる。
「困った。」
「真に。」
「保つにも、そろそろ。」
大貝神、具志古神、津久間神は直日神。耶万神は禍津日神。耶万社から溢れた闇は、禍禍しい。
大貝神が御力を揮われ、保つ。東に具志古、西に津久間、南に海。囲んで放てば、根の国の闇が絡まっていても、清められる。
・・・・・・ハズである。
「大貝神は、土の神。」
「闇や禍を、嫌って御出でだ。」
「我らとて、同じ。」
直日神は罪悪・禍害を、改め直す神で在らせられる。禍津日神は災害・凶事・汚穢の神で在らせられる。
伊弉諾尊が阿波岐原の禊の時、生まれ出られた。
海は広く、繋がっている。多くの神が、海から生まれ出られた。この度の大祓、海神の御力に縋るより他ない。
「隠神は、隠の世から。」
「国つ神は、人の世から。」
「中つ国より、闇を清める。」
隠の世、和山社。蛇神の仰せに従い、集う三柱。鳶神、梟神、亀神。揃ってゲッソリ。
流れ込む闇は日に日に濃く深く、幾ら閉じてもジワジワ、押し寄せるのだ。
隠の世は広い。多くの隠神が治め、清め為さる。困った事に、この度の闇は深すぎた。
「皆、暫し休まれよ。」
蛇神の仰せに三柱、涙目。
「和山の御力により、身も心も癒されました。」
一山より、鳶神。
「この御山は、いつも清らで美しい。」
流山より、梟神。
「早う清め、戻しましょう。」
海原より、亀神。
隠の世は、はじまりの隠神で在らせられる蛇神により、常に清められる。どんなに深くて濃い闇が流れ込んでも、隠の世が闇に飲まれる事は無い。
蛇神の愛し子は清めと守り、二つの強い力を生まれ持つ。良村に引き取られ、幸せに暮らしている。
愛し子の幸せは、隠神の幸せ。よって隠の世は、清らで安らか。
「サッサと。」
「サッパリ。」
「清めましょう。」
耶万を清めるため早稲神、殺神。風見社に御出で遊ばす。三柱の思いは一つ。少しでも早く、大祓を!
「耶万社を囲み。」
「心を合わせ。」
「祓い清める。」
言うのは容易い、行うのは難しい。けれど諦めない。