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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
504/1583

7-147 断末魔の叫び


「さぁて、お次は。」


大王おおきみやかたを見つめ、ニッコリ。


「生き残ってるね。」


念珠ねずもニッコリ。



ミカもクベも、動けなかった。怖すぎて息も出来ない。死んでも感じる恐ろしさに、膝が笑った。



「ねぇ、アナタたち。大王の首、欲しくなぁい?」


言の葉なんて出ない。けれど、激しく頷いた。


「いらっしゃい。共に、奪い尽くしましょう。」



そうだ、あの建物には大王が。大臣おおおみも。スンナリ死ねると思うなよ。苦しめて苦しめて、生まれたコトを悔いさせる。


耶万やまいくさなんぞ仕掛けなければ、加津の誰も、死ななかった。大石の誰も、死ななかった。蛇谷も千砂ちさ会岐あきも、どこも!



死んだ者は戻らない。食われたおにも、角を生やしたのも戻らない。耶万に居る全て、ずっと苦しみ続けるんだ。それでもオレは、この手で。






「だ、誰か。誰か居ないのか。」


耶万の大王は、急に恐ろしくなった。


「お逃げ、くだ、さ・・・・・・い。」


バタッ。



ヌヒョッと黒いモヤモヤが、むくろから抜け出した。良く見ると、他にもウジャウジャしている。



「ヒィィ!」


転げながら外へ飛び出そうとして、捕まった。


「はっ離せ、奴婢ぬひ! ワシに触れるなっ。」


ミカとクベの二人がかりで、ドンとじ伏せる。


「そのままシッカリ、押さえてネ。」


ベリッ! ベリベリッ、ベリィィ。


「フギャァァァァァァァァァァァァァァ。」



生きたまま魂を剥がされ、泡を吹いた。大王の叫び声は、外に居た妖怪を引き寄せる。ボタボタよだれを垂らしながら、フラリフラリと、やってくる。



ブクブク太った骸にガブリ。飢えた妖怪がかぶり付き、ブチブチもしゃもしゃ。千切ちぎられ食い破られ、骨を折られ、嚙み砕かれる。そのたびに泡を吹く。


繰り返し、繰り返し食い殺される。なのに死ねない。



「ごろぜぇぇぇ。ごろじでぐれぇぇぇ。」



大王、大臣、その他イロイロ。揃って叫ぶ。殺せと叫ぶ。殺してくれと叫ぶ。叫んで叫んで、泡を吹く。暫くすると、また叫ぶ。その繰り返し。






ちっとも気が晴れない。こんな男の所為せいで、ミミは死んだ。こんな男に穢されて、ミミは。他の娘たちも、酷い扱いを。


幾ら殺しても、殺し足りない。幾度いくたびも幾度も、繰り返し繰り返し殺しても、殺し足りないんだ!



コイツらは奪いすぎた。殺しすぎた、死なせすぎた。命は一つ。一つしかナイんだ。なのに、なのに、なのにコイツらは!



ミカとクベの額から、ニョキッと角が生えた。シュッと歯が伸び、牙になった。そして・・・・・・。



「フギャァァァァァァァァァァァァァァ。」


ガクッ、ブクブク。・・・・・・ハッ!


「ごっ、ごろじでぐれぇぇぇぇぇぇぇぇ。」


ガクッ、ブクブク。・・・・・・ヒィィ!


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