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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
502/1585

7-145 地獄の一丁目


酷い言われようですね、動きましたよ!


釜戸山で闇に放り込まれ、目をひん剥き、耳を押さえながら『スイマセン。ごめんなさい。もう、しません。許してください。助けてください。お願いします!』と叫んだ、おにもりが。



大蛇おろちとコッコにきゅうえられ、キチンとおおせに従いました。


霧雲山の統べる地を守るため、人の守をけしかけ、統べる地のおさに据えましたヨ。






「南のつわものが、霧雲山の統べる地を目指し、鳥の川に入った。」


立ち直った? 隠の守。ズバッと切り出す。


「先見と先読の力を持つ守によれば、早稲わさ風見かぜみが四つ。逃した二つ、我らが仕留める。」


・・・・・・。


「我らが仕留める。」


・・・・・・。


「我らが仕留めねば、滅ぶぞ。」



隠神様がおっしゃった。蛇神様が御決め遊ばしたと。隠のときが動く。人の世は、誰が守る。


国つ神は、お守りくださる。御力をふるわれる事は無い。霧雲山の統べる地は、山守神やまもりのかみが。霧雲山は、祝辺の守が。




我らは隠。何が有っても何が起こっても、どんな姿になっても隠は隠。死んでも祝の力を失わず、こうして守を務めるのは、なぜだ。


力を揮わず、霧雲山に籠るため。いいや違う。霧雲山で暮らす、全てを守るため。いいや違う。霧雲山の統べる地で暮らす、全てを守るためだ。他に有るか!




「これより、迷いの森へ飛ぶ。南の兵一人残らず、大貝山の統べる地に投げ込む!」


・・・・・・えっ。


「投げ入れる。」


・・・・・・いや、そういうコトでは。


「投げ捨てる。」


・・・・・・はい、そうですね。



海神わだつみのかみは、海を御閉じ遊ばした。耶万やまから溢れた闇は、大貝山の統べる地の外へは、漏れぬ。閉じ込められ、国つ神により清められる。


次から次へ乗り入れる舟は導かれ、耶万の闇へ。


あるじを失った舟は沈められ、魚の家となる。よって我らの、このたびの務めは一つ。南の兵を、耶万へ送る。他に無い。



「霧雲山は人の守と、祝辺に眠る隠に任せる。隠の守は残らず、迷いの森へ。」


オシオキされた守、マホ。目がイッチャッてます。


「皆、従おう。よろしいな。」


初代、祝辺の守。二コリ。


「はい。」


ひとつ守の仰せなら、従いましょう。と、いうコトでしょうか。皆さま。






迷いの森に到着。暫くして、南の兵を乗せた舟が二隻。スッと暗くなり、音が消えた。



送り込まれた隠の守たちが、南の舟を囲む。重さを変え、兵の動きを止める。風を操り、兵を刻んだ。


魂を集め、詰め込み、シッカリ閉じる。毒や戦の具を吸い寄せて分け、残りは焼べた。




隠となった兵を詰め込んだかめを、耶万へ投げ捨てれば終わり。繰り返し、繰り返し、妖怪に食われる。


乗った舟、入った川は違っても、行き着くトコロは同じ。一人残らず、妖怪の腹の中へ。


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