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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
501/1583

7-144 動いたのか!


霧雲山のいただきを守るのは、祝辺はふりべもり山守社やまもりのやしろを守るのは、山守の村。


山守神は、生けにえを求める。と、言われている。霧雲山で暮らす人の中から選んでいたのだが、とうとう足りなくなった。


祝辺には手が出せない。出せば山が、霧雲山が崩れる。



昔、祝辺の娘を選んだ。生け贄に捧げて直ぐ、山守の地が割れた。水が噴き出し、祝辺と山守の間を流れる、大きく深い川になった。


それからだ。祝辺の人が、選ばれなくなったのは。




「山守につわものを、育てさせる。」


「・・・・・・えっ。」


影を見つめる、ひのたち。






南から、大国おおくにが攻めて来る。このたびは、耶万やまの闇が片付けるだろう。しかし次は、その次は。



耶万の闇だって、このままとどまるとは限らない。雲じゃナイから分からないが、見えない何かが動いている。


しかしおにや妖怪が、いつでも守ってくれるのか。違うだろう、きっと。



祝が見るのは、いつだって酷いモンさ。この度だって、選んだ一つに死ぬのが有った。



北山の生き残り、祝の力を持つ子らが戦う。


どんなに強い力を持っていても、子は子さ。力尽きて死ぬ。南から攻めてきた舟には、多くの兵といくさの具。



戦うよ。


はじめは山裾の人たち、次に周りの人たち。オレたち忍びは南へ急ぎ、大王や大臣おおおみを殺す。戦をめるためにな。



残るのは川田、馬守、良村よいむら。獣谷、遠野、山中、小出の隠れ里。他は滅ぶ。



その道は閉ざしたから、死なないよ。けどな、豊田の外れに集まる、しき考えに囚われた人たち。


どこかへ閉じ込めなければ、戦を起こす。隙を作って、南から呼ぶんだ。わざわいを!



そうなる前に、手を打つ。


周りに里も村も無い、広くて近い山。魂食山たまくらいのやまか、流山か。どちらも難しい。霧雲山に放り込むしか、ないだろう?






「妖怪から、聞いた話だ。」


雲が静かに、話し出す。



耶万から、闇が溢れた。


中つ国は隠のときと、人の世の二つ。近いんだ。人の世で溢れた闇が、隠の世に流れ込む。だから、閉じ為さった。



隠の世を統べる蛇神は、はじまりの隠神で在らせられる。やまとの隠神ははかられ、御決め遊ばす。隠の世を守ると。



国つ神から助けを求められても、動かない。天つ神なら、考える。考えるだけで、動かない。


『人の事は人で、人の世は人で』それが、蛇神の御考え。その上で守り抜くと、御決め遊ばす。




耶万へ。闇に強い狐を二妖、送り込まれたそうだ。


多くの隠や妖怪が、南からの兵を一人残して、片づけ為さった。こちらへ向かっている舟も、サッと片づけ為さるだろう。






浜木綿はまゆふの川から入った、南の舟。早稲わさ風見かぜみが多くを、残りは祝辺。隠の守が片付けた。」


「烏神様!」


雲、サッと平伏す。



見えるのは雲だけ。他の忍びには、全く見えない。見えないが平伏した。ここは天霧山。人の世には国つ神、隠の世には、隠神様が御坐す。


・・・・・・ん、祝辺の守? 動いたのか!!


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