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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
491/1582

7-134 そりゃ、コワイよね


土は急いで巣穴へ戻り、獲物を確かめた。そして、頭を抱える。『蜘蛛ととびじゃ、獲物の大きさが違いすぎるぅぅ!』と。


鳶は生きた動物を捕る事は少なく、小動物や魚の死骸を食らう。新鮮な肉で無く、冷たくなった肉だ!



ポンッと巨大化。ガサガサッ、ガブッ。


噛みつくのと、引きずり込むのは、お手の物。慣れない事して疲れたけれど、鳶神への供物。捕ったゾォォ!


大急ぎで大貝社おおかいのやしろへ戻り、うつわに盛り付け。うやうやしく頭を下げ、ささげる。




「これは、これは。」


使いおに、ゴクリ。鳶神への、供物ですヨ。


「鳶神へ、宜しくお伝えください。」


にこやかに、大貝神おおかいのかみ


「はい。では、これにて。」



ニコニコ御見送り。姿が見えなくなると、へなへなペタン。






嫌呂きろろさん。」


悪鬼おきくん。」



妖狐が二妖、耶万やまに入った。はい、その通り。蛇神のおおせです。モフモフ仲良く、震えています。


そりゃ、コワイよね。人のときでは珍しい妖怪、ウヨウヨ。人の姿をしていますが、頭には角がニョキッ。迫力、満点。



「やみゃの神。ちゅ、ちゅきゃわしめを。」


「しょうでしゅね。」



そりゃ、オカシクなっちゃうよね。よだれダラダラの、コワイ妖怪に囲まれたらさ。泣いちゃうよ。


耶万社やまのやしろは、耶万の真ん中に在ります。コンッと一っ飛び。さあ、勇気を出して。



「いち、にの。」


「さんっ。」


ダァァァァァァッ!






「御免ください。蛇神の仰せにより、参りました。」


・・・・・・。


「どなたか、いらっしゃいませんか?」


「アヤシイ狐では、ございません。」


・・・・・・。見合うコンコン。



暫くして、ドタッツ。ザワザワザワァァァ。



「ヒィィィ。」


抱き合い、毛を逆立てる。


「・・・・・・あれ?」


嫌呂は気付いた。



黒いモヤモヤ。思いを残して、死んだ人の魂を取り込んだヤツだ。良山よいやま出会でくわした闇とは、感じが違う。ってコトは、もしかして。




耶万神やまのかみですか? 使わしめも、いらっしゃいますか。」


ザワッ。


「モヤモヤの濃さを、確かめさせてください。」


嫌呂は悪鬼と共に、ゆっくり近づいた。




所どころ、黒くなっている。


耶万神の使わしめは、黒蛇の隠。違いが判らない。けれど蜷局とぐろの中に御坐おわすのは、きっと。



見合い、頷く。


考えている事は同じ。急いで耶万を離れ、一山いちのやまから隠の世へ入る。使い蛇に言伝ことづてを頼み、大貝山の、妖怪の墓場で待つ。



「隠の世、隠神に御伝えします。御気を確かに。」


「お・・・・・・願い、し・・・・・・ます。」


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