7-131 思い出しただけで・・・・・・。
耶万から溢れた闇は、根の国から漏れた闇。耶万社から広がったのは、なぜだろう。
「土?」
「はい。」
「難しい顔をして。悩みが有るなら、言ってごらん。」
蜘蛛の表情ほど、分かり難いモノは無い。しかし長年、連れ添った? 大貝神には、手に取るように分かる。
「中つ国と根の国の境は、あちこちに御座います。」
「フム。」
「しかし、耶万の近くには。」
「無い! ・・・・・・ハズ。」
その通り。耶万の近くには、存在しません。では、なぜ漏れたのでしょう。
「あの闇の主は、耶万の祝。」
ウッカリ攫われた大貝神。イヤなコトを思い出され、ブルルッ。
「死し、妖怪に食われたのでしょう。」
使わしめ土。何でも無い事のように、サラリ。
『大貝神、救出作戦』 大成功!
その後、持ち帰った証拠物を分析。八つの目をフル稼働させ、多角的に見た。その結果、判明したのだ。いろんな闇が、交じり合っていると。
オカシイ。どう考えてもオカシイ。有り得ない!
根の国へ続く道は、全て塞がれている。伊弉冉尊、御自ら。それはもう、スゴイ勢いで。
神の御業を、祝がドウコウ出来るワケが無い。死して妖怪となっても、中つ国に禍を齎すような行い。許されない、認められない。
万が一、となれば迷わず。
根の国は隠の世と結び、備えている。ほんの小さな裂け目でも閉じ、塗り固める。根の国からも、隠の世からも。
残るは、人の世。禍の種を蒔くような悪しき事、妖怪にしか出来ない。耶万の祝タヤには、強い清めの力が有った。
「あっ!」
土、閃いた。
「ん?」
「判りました。なぜ、どのように、どうしたのか。」
タヤは死にました。それでも、清めの力は残ったのでしょう。
イロイロあって妖怪になったものの、清めの力は、生きる妨げになります。妖怪ですので。しかし、どうにも。
タヤにとっては幸いな事に、耶万には多くの闇が。
闇は有っても、妖怪の墓場は無い。ならばと、一山から耶万の闇を取り込み、少しづつ蓄えた。闇を力に変える事で、強さを得たのです。
動けるようになったタヤは、妖怪の墓場へ。
争いに巻き込まれ、死んだ魂が眠る、大貝山の墓場でしょう。タヤも巻き込まれ、死んだようなものです。
妖怪の墓場から、根の国と隠の世の境へ。そこから掘り進み、耶万の真下に、巣穴を作った。それが、あの。
「・・・・・・広かった、ぞ。」
大貝神の御目に、涙が。
「はい。元の姿でも、戦えました。」
土は、地蜘蛛の大妖怪。迫力満点!
中つ国から巣穴まで、元の姿で掘って掘って、行き着きました。根の国なら、もっと掘ったハズです。ニコッ。