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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
475/1583

7-118 あらら


「止めろ。寄せろ。オレは降りる。」


「はぁ? オレは死にたくない。だから止めない。」


「だったら寄せろ。」


「嫌だ。降りたきゃ、川に飛び込め。」



クベは黙って、飛び込んだ。


川下に流されるように進んでいたので、沢は川に。多くの沢が流れ込み、それなりに深くなっている。



流れが早いので、川上を向いて入らなければ溺れる。ガッチリしていても、クベは子。足が届かない。


大石の近くを流れていた川も、流れが早かった。川の真ん中に入るなと、良く言われたモンだ。




少し流されたが、何とか泳ぎ切った。這い上がり、一休み。このまま真っ直ぐ北へ進めば、曲川まがりがわに出るハズ。


そんなに流されて無い。滝の南か、滝とつるばみ大木おおきの間か。そう信じて、進もう。



「行くか。」


ノソッと起き上がり、北を目指す。






「どうした、シュン。」


よろづさま。一匹、舟を降りました。」


「そうか。」


「こちらへ来ます。クッ、ククク。」


こい来いコイ。惑わせ、谷に落とぉす。



「シュンよ、止めておけ。」


悪ぅい顔して笑う祝って、どうなの?




使わしめと祝のヤリトリを見て、前足を合わせて震えるコンコンたち。嫌呂きろろ悪鬼おきは思った。


怖い恐ろしい、帰りたい。助けて、蛇神様ぁぁ!




「あノぉ。」


嫌呂の声が、裏返った。


「何だい、狐サン。」


シュン。祝の顔に戻し、ニコッ。


「ヘヴィ神の、オぉセに。」


裏声祭り、開催中。



「こりょしちゃ、いっ。いけましぇん!」


悪鬼。直立不動で、目をパチパチ。


「そうだね。ありがとう。」


顔は笑っているのに、目がコワイ。


「シュンよ、狐を虐めるな。とよに叱られるゾ。」



流山の保ちおに、豊は妖狐。隠のときの出入りと、妖怪の墓場を取り仕切る、流山のドンである。隠でも妖怪でも、人でも御構い無し。


抱き合って震える妖狐を見つめ、ニコリ。仲良く気を失い、パタンと倒れた。あらら。



「さぁて、始めますか。」






ながれ? ・・・・・・おぉぉいっ。」


熊神。痙攣するニャンコを、木の枝でツンツン。


「ニャにゴト!」



神成山かみなりやまの統べる地に、奴婢ぬひが連れ込まれた。恐れ山、霧雲山、神成山の統べる地では、決して許されない。認められないコトなのに。


逃げ込んだなら、やしろを通して受け入れる。連れ込まれたなら、許さない。



神成山から流れる、渦巻川が溢れた。ドワッとみなぎり、グワッ。ドバッと流れて止まらない。


流は悟る。渦風神うずかぜのかみの御心を、穏やかに出来るのはアタイだけ。



『渦風神。心行くまで、どうぞ!』と、もふもふ我が儘ボディで、神を誘惑。


捨て身で事に当たった使わしめ、流。アッパレ。功を奏し、多くの命が救われた。



めでたしメデタシ?


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