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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
467/1584

7-110 きっと、きっと


サワサワ、サワァァ。サワ、サワワァァ。



「マルさま。聞こえますか、マルさま。」


双樫社ふたかしのやしろの祝、ナラ。


「こんにちは、マルさま。聞こえますか。」


楢守社ならもりのやしろの祝、シュウ。




ふたなり楢守ならもりいわお。イロイロあったが、三つの隠れ里が結んだ。


双と楢守の祝には、木の声が聞こえる。木の力を借りる事で、話し合える。しかし、嵓には・・・・・・。



嵓には石を操り、動かす祝女が居る。因みに、岩は重くて動かせない。水に魂を溶かして、飛ばす継ぐ子も居る。どちらも、木の声なんて聞こえない。



祝に難しければ、使わしめが動く。


双樫神ふたかしのかみの使わしめ、熊のおにドン。楢守神ならもりのかみの使わしめ、熊の隠グゥ。


嵓神いわおのかみの使わしめよろづは、思いを残して死んだ魂が集まって、生まれた妖怪。



それぞれの里で考えを纏め、使わしめに託す。託された使わしめたち。隠のとき、流山に在る滝に集まり、話し合う。


持ち帰り、里で話し合う。神は『長引きそうだ』と、御思い為さった。



使わしめを通して、祝の声が届くように。国つ神の御力添えにより、叶えられた。神様スゴイ。






サワサワ、サワァァ。サワ、サワワァァ。


「・・・・・・あえ?」


「双のナラです。」


「楢守のシュウです。」


気の所為せいじゃ無かった。



「マルです。聞こえますか?」


「はい、聞こえます。」


「私にも、はっきり。」



コロッ。コロコロッ。



「クゥン?」 アレ?


石が動いたよ、右に左に。あっ、浮いた。コレきっと、祝の力だヨ。


「うごいら。」


マルは目をパチクリさせ、石をツンツン。



「はじめまして。嵓の祝女、シナです。」


「はじめまして。よいむら村のマルです。この仔は、マルコです。」


「キャン。」 ヨロシク。






「センさんっ。」


タッと駆け寄り、抱きついた。


「ただいま、マル。」


「いらく、なぃ? くぅしく、なぃ?」


今にも泣き出しそう。


「うん。痛くも、苦しくも無いよ。」


マルを離して、かがんだ。


「何か、あったのかい?」




大貝山の統べる地が、堕ちた。神の御坐おわす地は守られ、清らに。神が御隠れ遊ばした地を通れば、闇に染まる。


ナラとシナから聞いて直ぐ、マルは叫んだ。『しょんなぁ!』と。鳥の川も暴れ川も、下れば闇に近づく。襲われる。



言伝ことづてを預かると、舟寄せへ急いだ。


帰ってきたら直ぐ、抱きしめよう。きっと清められる。みんなお守り、持っている。だから帰ってくる。きっと帰ってくる。



シンは大平おおひら、ノリは陽守やもり。タケとムロは、鳥の谷。センは少し前、海へ出掛けた。そろそろ戻るハズ。


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