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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
462/1582

7-105 名優の熱演


劇団コンコン、流山公演。『幻の国』第二幕、始まるヨ!


座長、嫌呂きろろ。幻の国、流山のおさを演じます。看板役者、悪鬼おき。給仕と長の側近、一妖二役。


この作品で認められ、人気俳優に? やまと演劇賞、助演男優賞。狙えるカモ!






「それは、心引かれる。」


貫禄タップリ。さすが座長。


「生まれて初めて、王のうつわを備えた人に出会いました。あなた様なら王、いや大王おおきみに。」


相手が狐だと知らず、ヨイショする。


「ハッハッハ、してクベ。耶万やまの夢。どれだけ作れる、持ち出せる。」



キタァァ! 食いついた。


『試したい』って言わないトコロは、褒めてやる。こんな国、治めてるんだ。愚かでは無い。


愚かな長といえば、飯田のボク。死んだと思うけど、どうなった。



そうだ。耶万の夢を有るだけ渡して、使わせよう。


流山は、いくさに備えている。山裾の地に仕掛けて、大王に。そんな夢、見てるんだ。乗ってくる、きっと。




ニタッと笑ってクベ。ふところから『耶万の夢』を取り出し、スッと差し出した。近くのおみが小さな壺に入れ、蓋をして、長の元へ。



「これが、耶万の夢か。」


壺の蓋を少し開け、中をのぞく。ぐに閉じ、言った。


「はい。」



少しくらい試せよ。


『誰でも、思い通りに出来ますよ』とか、『刺されても動く兵が、手に入りますよ』とか言ったケドさ。出されたモンが耶万の夢か、試さなけりゃ分かんないだろう?


ニッコリ笑って、クベ。心の中で毒突く。




お狐サマは、御見通し。人の子のくわだてなんてバレバレ。あの悪意おいつるんで、イロイロと。だから分かるんです。判っちゃうんデス。


『これは、乗っちゃダメ。悪いコトだヨ。みんな、気を付けて!』 客演俳優に、シッカリ目配せ。



さすが妖狐。名演技で、魅せます。


フカブカァと頭を下げ、ススッと下がる。舞台袖から楽屋へ走り、蓋が開かないようにグルグル巻き。付き狐に託し、舞台へ。






「長。」


下がった臣が戻り、囁く。


「その男、キツク縛ってひとやへ。」


「ハッ。」


急ぎ、下がった。



クックッ、試したのか。まぁ、そうだよな。まことだと偽って、まがい物を掴ませる。なんてコトも考えられる。


だから試した。耶万の夢なのか、どうか。



早かったから、少し。暴れ出すのは朝か。そのまま獄を出て暴れる、なんてコトも。そうなりゃ、コッチのモン。




「お気に、召しましたか?」


ニッタァ。


「気に入った。」


声は変わらないが、目の色が変わった。




名優の熱演に、スッカリ騙されたクベ。言ってはイケナイ事まで、ペラペラ話す。



「流山の南に、耶万の兵が居ます。食べ物、着る物、戦の具。海を渡った花や草、実や魚、蛇の毒もタップリ。耶万の夢も、ありますよ。しっかり守ってますが、オレなら近づけます。幾ら、要りますか?」


もう、どぉにもトマラナイィ。チャン!


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