表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
449/1581

7-92 ポッカァァン


飯田社いいだのやしろの前は、開けている。そこに丸くて清らかな膜が張られ、ユラユラとおにが集まった。見知った顔ばかり。死んで隠となり、飯田へ。


膜の外からは見えない。誰も慌てず騒がず、いつも通り。もし見えているなら、こちらへ入ろうとするだろう。



祝人はふりとおかんなぎが、残らず連れて来た。死んだおさの家に居た、南から来た人たち。ハナを狙った、加津の男。シゲたちに襲い掛かって、死んだ人の魂も。


むくろは調べてから、空き家に運んだ。死んだ長の、せがれの家だ。ボロボロだが、鳥についばまれる事は無い。釜戸山か乱雲山から、誰か来るだろう。それまで葬れない。




「さぁて、始めましょう。」


雲井社くもいのやしろ禰宜ねぎ、クラ。


「そうですね。」


飯田の社の司、カタ。


「では、私はこれで。」


飯田社の祝、カク。社へ戻る。



クラとカタが見合い、頷いた。モヤブワッと、闇が広がる。そして・・・・・・。



「殺されたくなければ、従え。」


クラが堂堂どうどうと、開廷宣言。カタを含め、集まった人たち。ポッカァァン。






「だぁかぁらぁあ。」


クラの目が、据わってきた。


「でっ、ですから。何も知りません。」


捕らえられた加津の男、ミカ。すっ呆ける。



何だ、コイツ。禰宜だろう? 禰宜だよな。怖いコワイ恐い。言える事なんてナイ。言えば終わる。オレは、かたきを討つと決めた。誰にも妨げさせない。


そのために要るんだ。餌が、にえが。良いだろう? 娘一人くらい、寄越せよ。何も知らない娘なら、手を出さない。穢されたんだ。二度ふたたび三度みたびも、変わらない。



「なぜ、そう思う。」


カタが手負い猪のような目をして、問う。


「なっ、何が。」


コイツ、気持ち悪い。何が、だと? ミミのために決まってるだろう。他に、何がアルってんだ。


「ミミ? 死んだ、いや。オマエが殺した、思い人か。」


「っな、んで。」


「答えろ。いつ、どこで、誰から、ハナの事を聞いた。」


・・・・・・それは。


「それは?」


コイツ、祝の力が? 祝ってのは、女じゃ・・・・・・。



「答えろ、ミカ。『言えば終わる』と言ったな、何が終わる。壊された娘の末を知っていながら、なぜ同じ事を、他の娘にいる。」


カタに睨まれ、動けない。




「うん、殺そう。」


笑いながら、クラが言った。


「えっ?」



細くて黒いモヤモヤが、ミカの体を押さえつける。叫ぼうにも、声が出ない。口の中に突っ込まれたモヤモヤが、喉から胸、腹へ。体がブクブク膨れて、はち切れそう。


目を白黒させ、助けを求める。


今更いまさら、ジタバタしても遅い。生き身だから、手が掛かる。死ねば騙せないし、偽れない。闇の力を使えば、スンナリ片付く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ