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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
446/1581

7-89 なぜ、ソレを


死んだのは南の人。飯田の国長くにおさ奴婢ぬひを、いっぱい連れ帰った。


・・・・・・信じられない。


霧雲山の統べる地で、決して許されない事。それをおさが、国長が。




「エイ。祝辺はふりべより、使いが。」


釜戸神かまどのかみの使わしめ、ポコ。難しい顔をしている祝に、ソッと差し入れ。


「はい。お会いします。」


ニコッ。




「カクさま。お知らせ、ありがとうございました。」


「どういたしまして。」


「では、これにて。」


「はい。さようなら。」



通信、終了。



「ポコさま。お芋、いただきますっ。」


ニコニコッ。


「フム。ゆっくり、おあがり。」


「はい。」


モグモグ、ゴックン。うぅんっ、幸せ。






良かった。蛇神が、飯田に御坐おわした。


山越烏も、平良ひらの烏も、鷲の目もシッカリ見ていた。直ぐ終わる。来てもらって、話を聞いて。で湯でノンビリ。そうだ、娘さんたちも。



それにしても、酷い話ね。


心を壊され、魂まで傷つけられた娘。穢され、死を願うの子。心を殺して、壊れたの子。みんな、滅んだ国の人。



早稲わさのヌエ、カツ。その裁きで、早稲を調べた、あの時。神成山かみなりやま、霧雲山、畏れ山の統べる地の人は、助け出された。


他の人たちは、助けられなかった。



具志古ぐしこ、津久間、大貝山。統べる地の人が苦しんでいるのに、何も。いくさで負けて、滅ぼされて、それで・・・・・・。



早稲は人を買わない。攫っても、奴婢にしない。悪い村だけど、そこだけは良いと思う。



解らない。なぜ人を? 解らない。なぜ、そんな事が出来るの?


稲を育てるようになって、豊かになった。食べ物に困らなくなった。とっても、良い事よ。


なのに、なのに、どうして?


戦が始まった。欲にまみれた人たちが、奪って奪って、奪い尽くした。食べ物、着る物、水。住む家、里、村、国。人まで奪って、奴婢にした。




中の東国。神成山、霧雲山、畏れ山の統べる地では、許されない。認めない。でも、珍しいんですって。そう、ブラン様が。


他の地では、当たり前。信じられない。


されて嫌な事は、しちゃイケマセン。言われて嫌な事は、言ってはイケマセン。子でも知ってるわ。なのに、なのに。






「お待たせしました。」


祝辺からの使いは、隠のもりでした。


「いきなり押しかけ、申し訳ありません。」


急ぎ、でしたので。


「お話、うかがいます。」


ニコッ。






「海の向こうから、悪いモノが来た。解らぬ。なぜソレを取り入れた?」


釜戸神、使わしめに問う。


「私にも、解りません。」


ポコも狸の親である。もし。そう考えただけで、ゾッとする。


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