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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
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7-86 思わず、ゴクリ


シゲの話を聞いて、カタは思った。やしろの中で、良かったと。


こんな話、他には聞かせられない。それにしてもシゲ、なぜ知っている。誰から聞いた、どこで聞いた。気になるが、今は。




耶万やまは、南の大国おおくに。戦好き。情けない話だが、知っているのはコレくらい。」


「まぁ社の人なんて、そんなモンだろう。」


アッケラカンと、シゲ。


「刈り入れが済んだ頃、か。」



いくさが始まるのは、秋。山の幸を頂き、実りを頂く。ソレを狙って、仕掛ける。






戦好きは、為来しきたりを守らない。使いを出して話し合うより、イキナリ襲って奪う。勝てば良いのだ。全ては、力。そう信じて、疑わない。



霧雲山の統べる地では、裁かれる。破れば、釜戸山が動く。他の地から攻められれば、乱雲山が動く。どちらも霧雲山が認め、裁く力を与えた。


神成山かみなりやま、畏れ山も同じ。力を与え、支え合う。為来り、決まりを破れば、サクッと裁かれる。




中の地。神成山、霧雲山、畏れ山の統べる地は、満たされている。東山や川北など、戦好きな国は多い。しかし、そんなモノ。南に比べれば、軽い軽い。


南の地は、遅れている。整ってない、備えも無い。乱れ乱れて、大荒れ。力が全て、負ければ終わり。




早稲わさはマシ、奴婢ぬひは居ない。攫って売っても、買わない。


そんな事しなくても、逃げ込んで来るから。子を連れて、思い人を連れて。助けを求めて、ホイホイ早稲へ。



おさ、ジン、タツが捕まった。


早稲の村外れで暮らす、他所の人。その生き残りが逃げ、玉置と三鶴に攻められた。捕まったのが裁かれ、死んだ。それを広く知られて、早稲は変わった。


アチコチ仕掛けず、送るのに絞った。


風見かぜみとの結びは、そのまま。他とは組まず、生き残る事を選んだ。




風見は、早稲との結びを解けない。雲井の力を思い知ったから。


裏切れば死ぬ。殺される。全て終わり。騙す、偽る、そそのかす。そんな事をすれば、滅ぼされる。


長が殺され、せがれが継ぐ。その倅が殺され、他の倅が。その倅も殺され、他の倅が。その倅も殺され、子が継ぐ。継いだ子も殺され、やっと気が付いた。



霧雲山の統べる地を、そう考えたダケで。北を攻めよう、そう思うダケで。欲しい、奪おう、少しくらい。言えば死ぬ。思ったり考えたり、それでも死ぬ。



殺されたくない。死にたくない。山奥にある中の地には、決して攻めない、仕掛けない。攻めたり仕掛けるのは、他の地。東、西、南。






「この地。南へ流れる川は、三つ。」


シゲの目の色が、ガラッと変わった。カタは思わず、ゴクリと生唾を飲み込む。



東から、曲川、暴れ川、鳥の川。


鳥の川を下れば、早稲。暴れ川を下れば、風見。つわものが上がれば、分かる。気付く。直ぐに社を通して、知らさせる。雲井の裁きで、そう決まった。残るは曲川。



崖の川の源が、蔓川と繋がっている。


蔓川は鮎川、白縫川とも繋がり、水が多い。ザッと流れて、崖の滝へ。渦の滝を下れば、大きな滝は無い。グネグネしながら、海まで流れる。




耶万は南の山と、海の真ん中に在る。真っ直ぐ下れば、光江だ。耶万が滅ぼした国さ、好きに使える。いろいろ積み込んで、海へ。


まがり川口かわぐちは、広い。いろんな川から、注ぐから。大きな舟でも、進める。


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