7-73 祝いろいろ、継ぐ子もイロイロ
みんなで楽しく、朝餉を食べる。お片付けして、一休み。
「シゲさんっ。おは、なしっ、いいれすか?」
「何だい、マル。」
そうか。双と楢守の祝は、木を通して。遠く離れていても、祝となら話せる。スゴイな。
里と社の考えは、少し違う。里はノンビリ、社はピリピリ。とまぁ、そんなトコロか。
里が突っ走っても、社で止めるハズ。社を抑えれば、いろいろ出来る。
とはいえ、マルは幼子。釜戸の祝も幼子だが、マルは違う。死にたいと、滝から飛び降りた。
思うだけなら、踏み止まれる。けどマルは吸い込まれるように、フラフラと。
いつ、どこで、何が起こるか。
何がマルを追い詰めるのか、分からない。何がマルを突き動かすか、分からない。それでもマルにしか、頼れない。
オロチ様が、いらっしゃる。マルコも側に。それでも・・・・・・。
「シゲさん?」
「マル。タエに会いに、茅野へ行こうか。」
「はいっ。」
キラキラキラァ。
タエには先読の力、タマには水を操る力。ミヨには、心の声を聞く力が有る。三人とも、マルと仲が良い。
何か悪い事が起きるなら、タエには分かる。見えても、話が出来ない。言の葉は出るが、話せない。少しは話せるように? 分からないが、会わせよう。
茅野社、宝玉社。狩り人を通じて、繋がっている。子を引き取ってから、行き来が増えた。
もしタエに何か見えて、伝えたくても伝えられないなら、きっとミヨを頼る。
ミヨもタマも、継ぐ子。社でシッカリ守られ、暮らしている。会いたいからと会えるのは、継ぐ子だけ。
「シゲ。」
はい、オロチ様。
「我も行こう。玉置は、止めておけ。」
きな臭い話は、聞きませんが。
「長と倅が、揉めて居る。マルはカンが良い。気に病む。」
分かりました。
「シゲさんっ、いつぅ?」
「これから行こう。飯田にな、届け物があるんだ。」
「いいら? かやの、よ。」
「マルは茅野社で、タエと過ごす。その間に届けるよ。」
「そか、フフッ。わぁいっ!」
ピョンピョン跳ねて、大喜び。
茅野の長には、行くと伝えてある。
タエが淋しそうにしている、らしい。狩り犬は避けるが、社の犬には近づき、撫でるとか。
飯田の国長は、役に立たない。
事が起きれば、荒れる。隙だらけ。茅野が目を光らせているから、攻め込まれる事は無い。それでも、気は抜けない。
「タエ?」
ブツブツ。ブツブツ。ブツブツブツ。
「祝、タエは。」
社には男が多い。よって、長の家から通っている。
「見守りましょう。」
長の問いに、答える気が無い?
「見守る、ねぇ。」
あまり食べず、眠りも浅い。このままでは倒れてしまう。