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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
429/1582

7-72 目から鱗


フンフン、フフン。朝の山歩き。開けた所で、木の枝ポーン。



「マルさま。」


キョロキョロ。だあれ?


ふたなりの祝、ナラと申します。」


楢守ならもりの祝、シュウと申します。」


はじめまして、ナラさま。はじめまして、シュウさま。




木の声が聞こえる祝、か。タマは水と話せるって、ミヨが言ってた。上木の祝は、風の声が聞こえる。


でも、話せないよ。



スゴイな。木を通して、ずっと遠くにいる人と話せるなんて。ミヨは、心の声で話せる。でも見えていないと、話せないの。


タマ、ミヨ、タエ。みんな、どうしてるかな?




「マルさま?」


はい。


「双、楢守。共に隠れ里ですが、良村よいむらと結びたく。」


「里の皆、思いは一つ。守るため、良村と。」


話は、分かりました。


「では。」


私には、決められません。


「そう、ですね。」


双と楢守は、結ばないのですか?


「えっ。」


ナラ、シュウ。目からうろこが落ちる。




私は思います。木の声が聞こえる祝が、里を繋げば良いのにって。


隠れて暮らす里だから、隠れ里。どっちも隠れているから、分かり合える。出来る事と、出来ない事。したい事と、する事。それを話し合ってから、頼る。


そうでなきゃ、誰もウンって言わない。



良村は、とっても良い村です。みんな優しくて、強くて、賢いの。


他の里とか村とか、国とも仲良し。どこも和やかで、穏やか。助け合い、支え合う。守って貰うんじゃナイ、守るんです。いろいろ備えて、整えて。



私は子だけど、お手伝いします。


出来る事を、シッカリと。出来なくても、努める。諦めない、逃げない、俯かない。そうすれば、出来るの。


だからナラさま、シュウさま。出来る事をシッカリしてから、頼ってください。


ニコッ。




「・・・・・・おっしゃる通り。」


「返す言の葉が、御座いません。」


マルに諭され、項垂うなだれる。






「クゥ、クゥン?」 オハナシ、オワッタ? 


フワッとした光に包まれて、ポワポワしてる。祝の力、なのかな。ねぇマル、そろそろ帰ろう。


「ナラさま、シュウさま。私、そろそろ帰ります。」


ペコリ。


「では、また。」


「御話し、しましょうね。」


はい、また。ニコニコッ。






「そっ、そこを何とか!」


双の狩頭、ツヨ。涙目。


「もう一度ひとたび、言おう。結ぶなら、楢守と結べ。それから、いわおとも結べ。三つの里で固く結び、生き残れ。」


シゲに言われ、シュンとする。



「クゥ。」 アキラメロ。


シゲさんはおさ。長が皆と話し合い、決めたんだ。覆らない。話し合いには、忍びも居た。良村だけじゃない。



「さて、帰るか。」


「ワン。」 ハイ。


「そんなぁ・・・・・・。」


粘っても変わらない。ツヨは諦め、双へ帰る事にした。


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