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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
425/1583

7-68 茫然自失


「オレも、聞いたコトある。早稲わさにいた時、風見かぜみ耶万やまで。」


「オレは、浦で聞いた。」


ノリとセン。


いくさの時、うねで聞いた。」


カズがポツリ。



「叫んでたなぁ。『死ぬ前に暴れたい』って。」


「兄さん?」


「聞いたんだ。オレは言ってない。」


コタ、大慌て。



「いろいろスゴイと、思っていたが。」


「ここまでとは。」


ポカンとする、あかうた






「覚えているかい? 良山よいやまに耶万が入った時に、話した事を。」


シゲが皆に、問いかける。


「あぁ、覚えている。流山に住みついたって、ヤツだろう?」


カズが答えた。


「そういえば、見ないな。気付いて逃げた?」


タケ、首をかしげる。




『月が満ちた夜明け、風が騒ぐ』 ずっと昔、ゲンが言った。


解らなかったが、気が付いた。罠を仕掛けに出た時、人の焼ける匂いが風に乗って、届けられたから。その前の夜、月が満ちていたと。



ふと山に入り、調べようとしてめた。仕掛ける前に付ける跡が、あちこち残っていたから。次の日、流山に入った。で、見つけた。




酷いモンさ。焼け残ったむくろや骨には、刺されたり突かれた跡が、ハッキリ残っていた。中には子、嬰児みどりごも。



耶万に攫われたか、罰を受けたか。戦えない人を、流山に送り込んだ。家を建てさせ、暮らさせた。


流山の、あちこちに。試したんだ。どこに村を作れば、いわおが動くか。



耶万は知った。流山の南。枯れた川の近くから、南の端。その真中まなか。そう遠くない所に、嵓の里が在ると。



「なぜ、そう思うんだい?」


「それからさ。流山に南の人が、住まなくなった。」


カズに問われ、シゲが答えた。






「で、毒嵓どくらは。どうするのだ、シゲ。」


「オロチ様。流山にも、神は御坐おわすのでしょうか。」


水豊神みとよのかみは、御隠れに。妖怪の墓場なら、今も在る。」



嵓と結びたいとは、思いません。でも、耶万は攻めて来ます。



耶万は嵓が、流山の近く。渦の滝から、つるばみ大木おおき。その辺りに在ると気付きました。


曲川から攻めれば、嵓の毒に怯える事は無い。そう考え、つわものを引き連れ、川を。



毒嵓は知っている。上木とかしが、良村よいむらと結んでいる事を。オレたちが早稲の生き残りで、獣谷の隠れ里と繋がっている事も。






上木、樫、獣谷。全て隠れ里。だから嵓もと、考えた。


良村は知っている。嵓が耶万の夢より、危ない毒を扱うと。嵓は決して、共に戦わないと。



だからふたなりを使った。良村を頼るよう、嵓と結ぶよう。耶万が暴れ川を使わない事、曲川から攻めて来る事を分っていて、仕向けた。



「忍びだから信じられないのでは無く、嵓だから信じられない。もし結ぶなら嵓では無く、嵓社いわおのやしろと。」


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