表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
423/1581

7-66 御尤も


「そのいわおの忍び。罠に掛かり、ぶら下がって居るぞ。」


人の姿に化け、大蛇おろち


「オロチ様。それは、どの辺りでしょうか。」


谷望たにのぞみつるばみだ。」


「・・・・・・え。」


集まっていた皆、ポカン。



あの罠に、忍びが? 狩りの罠に、忍びが? 暗くても、忍びが掛かるとは思えない。


いや、まぁ。ん、待てよ。


嵓は一人では、動かない。直ぐに誰かが外して、助けるだろう。



「朝まで吊るすか?」


???


「一人だぞ。一人で来た。」


「えっ。」


あかうた、シゲ。ビックリ。


「一人だと、おかしいの?」


コノに問われ、シゲが答える。


「嵓は束で動く。二人か三人づつ、五つに分かれてな。」




「忍びにしては、遅いか。」


「オロチ様。それは、どういう事でしょうか?」


ムロ、冷静に問う。



マルたちが夕の山歩きと、木の枝ポーンを終え、村に帰ろうとした時だ。渦の滝を、忍びが越えた。同じ頃、緋と謡が休むため、木に登った。



嵓神いわおのかみの使わしめよろづは、姿を持たぬ妖怪。思いを残して死んだ魂が集まって、生まれた。


鳥肉が好きでな。食らうには良いと、蛇の姿で過ごす事が多い。どういうワケか、我に懐いて居る。



嵓の祝に仕える忍び、毒嵓どくら嵓社いわおのやしろの守り札を、必ず隠し持つ。よって、毒嵓に違い無い。



渦の滝を越えた時、萬へ使いを遣った。それはそれは持て成され、戻るのが遅くなった。くれぐれも頼むと、言伝を預かった。



「嵓はな。『良村よいむらと結ぶため、伺います。争う気など、御座いません。忍頭に誓い札を持たせました。宜しく御願い、申し上げます』と。」


「オロチ様。掛かったのはまことに、忍頭なのでしょうか。」


緋が問う。


「真だ。我を騙しても、得は無い。むしろ、損をする。」






良山よいやまには、良村が在る。はじまりの隠神で在らせられる、蛇神のめぐし子が幸せに暮らす村が。


マルに何かあれば、荒ぶられる。蛇の怒りは凄まじい。嵓など、一溜りも無い。



泉の近くに、石積みの社が作られた。マル特製、大蛇社おろちのやしろ


国つ神に復帰した事で、おにときと人の世。どちらでも祀られる、ただ一柱の神と御なり遊ばした。






「シゲ、どうする。」


「結ぶのか?」


カズとノリに問われ、考え込んだ。



「とりあえず一度ひとたび、話を聞くよ。それから決める。」


「でもな、シゲ。」


「何だい、コタ。」



忍頭が、獣の罠に掛かった。狩り人なら掛からない罠に、忍びの頭が掛かった。


センやノリの話を聞く限り、恐ろしい毒使い。耶万やまと同じだ。毒を使って、奪う。信じられない、頼れない。



北で毒を使わないのは、引っ越せないから。他じゃ作れないから。って事は、他で見つかれば、使うぜ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ