表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
420/1585

7-63 ボクの声が聞こえるの?


「少し前、いわおの子を助けた。迎えに来た狩頭が、言ったんだ。『良村よいむらおさと、話したい』と。」


真っ直ぐ目を見て、話す。


「それだけか。」


カズの目は、冷たい。


「話したいなら、なぜ出なかった。」


シゲが問う。



オレも思ったよ。両の手を上げ、『話がしたい』って、言えば良いのにって。でも怖くて、恐ろしくて。


何て言うか、目がイッチャッテタ。子は、良い子だよ。



流山の底なし沼に、首までまっていた。


認めて欲しくて、一人で山に。助けを呼んでも、誰も来ない。誰も住んでナイから。狩り人だって、晴れが続いた日の、昼にしか入らない。



暴れると、沈む。ジッとしていても、沈む。エグエグ泣いて、泥だらけ。烏が目を狙って、襲っていた。だから分かった、見つけられた。


倒れてた木を沼に刺して、掴まらせた。それからユックリ引っ張って、助けたんだ。忍びの子だった。




「長、お願いします。ふたなりと結んでください。」


「嵓の事は分かった。双の事は分らない。暴れ川沿いの、どこにある。」


「・・・・・・それは。」


悩むツヨ。


「結んで無くても双は、嵓を売った。」


カズの言う通り。



双樫ふたかし大木おおきから、そう離れていない。分っているのは、それだけ。暴れ川からは、探しても見当たらない。だから守られた。知られなかった。


沢を登れば、辿り着くのだろう。しかし、どれだ。暴れ川に流れる沢は、多い。木の声が聞こえる人なんて、こちらには居ない。



祝を連れて来いとは言わないが、どこに在る。明かせないなら、信じられない。


犬が怖いようなので、外で待たせている。嘘か、罠か。確かめるてだては、無い。



「お話し、します。」






フンフン、フフン。いつもの山歩き。大実社おおみのやしろを清め、開けた所で、木の枝ポーン。楽しく遊んで、一休み。



「クゥゥン?」 アレレ?


まだ明るいのに、あかが来た。うたもいる。木に登った。夜まで、休むんだね。


「しのび、がっ、きらの?」


屈んでマルコを撫でながら、マル。


「キャン。」 キタヨ。


マル、スゴイね。ボクの声が聞こえるの?



「マル、マルコ。村へ帰ろう。」


水浴びをして、スッキリした大蛇おろち。渦の滝を越えた、忍びに気付く。






「あっ、センさん。おかえい。」


「ただいま、マル。」


舟には、海の幸が山盛り。


「おかえり、セン。」


「ただいま、ノリ。手伝ってくれ。」



センは背負子しょいこを背負い、舟を頭に乗せ、運ぶ。ノリも背負子を。腕には箱魚籠びくかごを抱え、運ぶ。ノリコも背負子で。


マルもシッカリ、お手伝い。袋の紐を両の腕に通し、背負って運ぶ。




良く食べ、良く寝て、良く働く。しっかり学んで、楽しく遊ぶ、良村の子。


あんなに細かったマルも、健やかに。重い荷も、運べるようになりました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ