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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
413/1582

7-56 い、犬ぅ


何だ、この男。


シゲコが乗り込んだって事は、突っ突いたか叩いたか。かいが見当たらないから、突っ突いたんだろう。


叩いたなら、くわえて引っ張る。で、舟ごと引っ繰り返る。この怯えっぷり。犬が、恐いのか?




「止まれ。降りて、舟を上げろ。」


チラッと見る。舟に狩りの具も、いくさの具も無い。隠し持っている?


「ヒィ。」


ガタガタ。ガタガタ。


「・・・・・・手を上げて、頭の後ろで組め。それから舟の底に、腹這はらばいになれ。」


「ハッ、ハイィィ。」



スッと両の手を上げ、パッと頭の後ろで組む。それから、ドンッと腹這いに。


・・・・・・痛くない?



シゲはみよしを掴み、グイッと寄せる。そのまま引き摺り、止めた。シゲコは静かに呻りながら、アヤシイ男を見張っている。




「どこの、誰だ。」


ゆっくり確かめるように、問う。


「あっ、怪しい、者では。あっ、ありま、せんっ。」


・・・・・・怪しい。


「シゲコ、おいで。」


「ワン。」 ハイ。


シュタッと舟から降り、シゲの後ろへ。




「犬は降ろした。答えろ。どこの、誰だ。」


ふたなりの狩頭、ツヨ。」


「で、ツヨ。良山よいやまに、何しに来た。」


「よっ、良村よいむらの。ゴクリ。おさに、話をっ。」


「話?」


「ふっ双の、札を。」


「見せろ。」


「ヒャイ。」


膝を折って座り、袋から札を出した。



・・・・・・分からん。


双? どこにある。とりあえず、狩り小屋に入れるか。縛って。




「確かめるには、時が掛かる。暫く待て。縛るが、暴れるな。」


「ヒャイ。」


いっ、犬が、睨んでるぅ。ここっ、コワイ。






「と、いう事だ。みんな、分かるかい?」


シゲとシゲコが、村に戻った。シンは商い。ノリとセンは、釣り。タケとムロは狩りで、村を出ている。


「双って、隠れ里かな? 初めて聞いた。」


札を見ながら、カズ。


「オレも。聞いた事、無いな。」


「私も。」


首を傾げる、コタとコノ。



「キャン。」 マルガキマス。


コナツが吠えて、知らせる。




トコトコと、マルが駆けて来た。


「シゲさん。オミさんが、おはっ、なしがぁるってっ、おっひゃってますっ。」


「オミさん?」


コクンと頷き、ニコッ。



大実神おおみのかみの、使わしめだ。双樫社ふたかしのやしろから、使いが来た。」


大蛇おろちがニコニコしながら、補い足す。


「双樫社、ですか?」


戸惑うシゲ。良村で見えるのは、マルだけ。


「その札を出した、社の事だ。」




双は隠れ里。暴れ川を南へ。つるばみ大木おおきの、ずっと西。流山を挟むからな、人には分かりにくいか。


その双から狩頭が、社の札を持って来ると、知らせに。


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