表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
406/1581

7-49 救出成功


何だ、この闇は。生きているようだ。



「これはこれは、大貝神おおかいのかみ。」


「そなた、祝か? 耶万やまの。」


「フフッ。」


ブワッと闇の手が伸び、大貝神を掴む。そのまま引き寄せられ、ガバッと抱きつかれた。


「なっ、何を。」


ズルズルと、土の中へ。




大貝神の使わしめ、土。八つの脚でタンッと飛び上がり、二つの脚で突き刺さる。と同じくして、ザザザッ。


土は地蜘蛛。掘り進めるのは、お手の物。暮らしやすく、慣れた姿にとどめているだけ。何を隠そう、大蜘蛛の妖怪である。



早い、蚯蚓みみずよりも。早い、土竜もぐらよりも。八つの目を光らせ、神を攫った『不届き闇』を追う。


逃がすモンか!




ゆるりと、おくつろぎください。」


ニヤリ。


「く、つろげるかぁぁ!」


大貝神、絶叫。



ボロッ、ボロボロ。・・・・・・ポンッ。シュタッ。



「こっの、不届き闇ぃぃぃ!」


使わしめ土、絶叫。


「なっ、え?」


固まる、闇の主。



シュシュッ。


しばし。」


神を閉じ込め、尻をブンと振る。


「アレェェェェェ。」




蜘蛛の糸は強い。地蜘蛛の巣穴は、管のよう。つまり、開けた袋を被せてキュッと閉じ、引き寄せたのだ。



「アナタ。とっても美しい姿、してたのね。さぁ、こちらへ。いらっしゃいな。」


ニッタァ。


「私は、大貝神の使わしめ。闇堕ちした妖怪になど、付かぬ!」


「そう。なら、死んで。」


水を含んだ灰のように、ドロッとした闇が襲う。



ズサズサ、ズサァァァ。



全速力で逃げる。八つの脚が見えない程、早く動いている。不敬なのだが、尻の先には・・・・・・。




シュポォォン。



飛び出した! 神の御坐おわす袋を、ポンッと背に乗せ、タッと駆け出す。とっても早い、巨大蜘蛛。忍びより早い。



「待てぇぇぇ。ゴッ。」


祝らしからぬ声が出た。蜘蛛の糸で出来た壁に、ち当たったのだ。



ドサッ。


「えっ。」


フワッなど、生温なまぬるい手立てを講ずるとでも?




「出せぇぇぇ!出しやがれぇぇぇ!」


出すワケが無い。そのまま大貝社おおかいのやしろまで、突っ走る。




闇を捕らえたソレには、清らな力が宿っている。力が無ければ見えない、蜘蛛の糸。しかも袋。暴れればキュッと閉じる、スグレモノ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ