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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
405/1582

7-48 真の過ち


「これにより流山、全て。霧雲山の統べる地と、相成あいなりました。よって、東はつるばみ大木おおき。西は双樫ふたかしの大木、南はならの大木と。」


「いや待たれよ。なぜ、そのように。」


シズエの話を止め、問う。



「あらぁ? あらあらぁ?」


弾けるような笑顔で、山守神やまもりのかみ


「どこぞの神が御見捨てになり、やしろが流れたのです。南へ。おにとき水豊社みとよのやしろから流山の端まで。グルッと繋げば、そのように。」


淡淡たんたんと語る、シズエ。




「そぉお、だっ。出雲へ参りましょう。ウフッ。」


ノリノリです。纏めて済ませるオツモリですね。


「はい。では、これにて。」


山守神の使わしめシズエ、キリリ。おにもりたち、ニコッ。



「お、お見送りを。」


大貝神おおかいのかみの使わしめ、土。大慌て。






ブツブツ。ブツブツ。ブツブツブツ。


「大貝神?」


「土! 逃げよう。」


「・・・・・・はい?」



マズイ、これはマズイ。悪意おいは魂ごと消えた。なすり付けようにも、骨すら残って無い。だから、嫌呂きろろ悪鬼おきに。そう思っていたのに!


流山を取られた。任せたのだが、差し上げたのだが、譲ったのだが、渡したのだがぁぁぁ。



終わった。全て、何もかも。終わったのだよ、土。だから逃げよう。



「大貝神。それは、難しいと思います。」


「ん?」




あの結び。


一つ。流山を、霧雲山の統べる地に加える。


二つ。耶万から広がった闇を、大貝山の統べる地から、決して出さぬ。


三つ。耶万から広がった闇の源を祓い、清める。



神の、神による、神のための結び。しかも、大社おおやしろの大札。


狐が操る神輿みこしは、風より早いとか。今から追いかけても、姿すら見えないでしょう。



杵築大社きづきのおおやしろ大国主神おおくにぬしのかみが御認めになれば、天つ神でも。たがえば、どのような罰が下るか。ブルルッ。




耶万やまへ。耶万社やまのやしろへ行くぞ、土。」


「はい、喜んで。」






一つ、二つは良い。三つが、難しい。なぜ祝が隠では無く、妖怪になったのだ。祝だろう、祝。めかんなぎでもおかんなぎでも無く、祝。


イヤ、イヤイヤ。


祝辺の守が、隠の守が逃げ帰った。それだけ深く濃い闇が、耶万から広がった。と、いうコトになる。ハァァァ、困った。困った事になった。



何とかして、闇の源を絶たねば。


その前にず、闇を封じ込める。大貝山の統べる地から、決して出さぬ。出せば終わる。ただでは済まない。




闇の全てを知らなければ、扱えぬ。よって、善し悪しを明らかに。全てを疑い、問う。


どのような物なのか、中身は、もとは。たちまこと生地きじ。残らず、たださねば!



このたび、耶万が犯した罪、とが。気づきながら改めず、捨て置いた。真の過ちである。



逃れられない、知られてしまった。


山守神、矢弦神やつるのかみ雲井神くもいのかみ。隠の世を統べる、はじまりの隠神。そして・・・・・・。


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