7-47 本物でした
「あらたっ、わかってうわよね?」
召されるほど、御目が据わる。
「・・・・・・ハイ。」
山守神。酒が入ると、お強い。ドキマギ為さる、大貝神。
「じゃぁあぁ、ヒック。今、直ぐぅ闇、けぇしてっ。」
ニッコォォォ。
「そ、れは。その。」
「うっ。ひろい、ひろいわぁぁぁ。」
オォォイ、オイオイ。サメザメ、ヨヨヨッ。
「わっ、かり、ました。差し上げます!」
???
流山は、大貝社の統べる地。それも北の果て。霧雲山の統べる地の、南隣。隣り合っている。だから、どうぞ。どうぞお納めください。
いろいろ御心を、痛められたのでしょう。申し訳ありません。御許し頂けると、幸いで御座います。
「へ? なあに。まぁたっ、にえるのぉ。」
軽ぅく首を傾げられ、ジィィィ。
「逃げっ、ません。御任せします。」
こうなったら、山守神に押し付けよう。ナンだカンだ言っても、山神。御隠れになっても、生まれ変われる。代替り出来るのだから、任せよう。
酔っ払いなど、容易い。認めさせれば、全て終わる。幸い、狐は居ない。あの使わしめ、抜け目が無いからな。フフッ。
「急ぎ、申し上げます!」
・・・・・・先触れに来た、隠か。何しに来た。
「あらぁ。なあに?」
ニコニコと、山守神。
「耶万の闇。社からでは無く、中つ国と根の国。その境から、溢れ出たモノで御座います。操っているのは祝。死し、隠では無く妖怪となり、闇を。」
ゲッ。何だよソレ、中つ国だけでドウコウ出来るのか? ヨシ。サッサと押し付けよう。
「山守神。御話、続けても?」
大貝神、悪ぅい顔。土はアワアワ。
「えぇぇっとぉ。いぃいのぉ、決めちゃってぇ。」
フラァ、フラァと、山守神。
「ハイッ。決めちゃいましょう。」
大貝神、ニッコォ。土、パチクリ。
「シズエェ。お・ね・が・い、ねぇぇ。」
ニッコォォ。
「では、大貝神。こちらへ、御願いします。」
・・・・・・え? 狐。いつの間に!
「フゥゥっと。さぁ、どうぞ。」
ニッコォォォ。
こっ、れは。大社の札? ハッ、ハハハハハッ。そんなワケ無いだろう。落ち着け。
大社の札など、それも大札など。そうそう手に入る物では無い。
「痛くありませんよ。」
「そぉそぉ。フゥって。フゥゥって。」
山守神、使わしめシズエ。揃って、ズズイッ。
「・・・・・・フゥゥゥ。」
大貝神。息を吹きかけ為さった。
キラキラキラキラァァァ。ピッカァァ。
「えっ、エェェェェェ!」
本物でした。
大国主神、御手づから作り遊ばした大札です。つまり神の、神による、神のための結び。
クーリングオフ? 神の契約には、適用されません。