表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
403/1581

7-46 長瀬山の悲劇


何とかって、おっしゃいますがね。御覧ください、あの闇を。あんなに深くて濃い闇、手に負えません。ハァ。どう為さる、耶万神やまのかみ


このたびの事は、私の手に余る。闇をドウコウ出来るのは、隠神か禍津日神まがつひのかみ。耶万神は、禍津日神。だから任せようっと。


・・・・・・そのような目、為さらないで。私は土を司る、直日神なおびのかみ。闇やわざわいを嫌い、やしろに籠る、穏やかな神なのです。




「ひろい、ひろすいるぅ。」


グスッ、グスン。・・・・・・ついに、第三段階へ。


「あの、山守神やまもりのかみ?」


大貝神おおかいのかみの御声が、裏返った。


「あらたがぁ、そんなっ。そんなっ、らからぁ。長瀬山がぁぁ。」


サメザメ、サメザメ。オォヨヨ、オヨヨッ。



水に恵まれた、山の神。たんと御酒を召し上がり、涙の備えは整いました。元より、涙脆い神です。それはもう、滝のように流れます。



「長瀬山、ですか?」


「そおぉ、よぉ。あらたがぁ、見捨てたぁぁ。」


ドバァと、涙が。


「そっその。なぜ今、長瀬山が?」


「あらたっ!わすえたの? ひろい、ひろすいるぅ。」


ヒック。グスッ、グスン。


「忘れてなど、居りません。」



考えろ、長瀬山? 聞いた事は有る。えぇっと、どこだったか。・・・・・・ん。もしかして、あの山か?



「流山ですよ。大貝山の統べる地の、北の果て。大貝神が御見捨てになった、水豊神みとよのかみの。」


悪ぅい顔をして、おにの守が囁く。


「ハッ、あの山か!」


「やっぱり! わすえてたのねぇぇ。」



忘れてました、思い出しました。だから、えっ? ズズイッと顔を近づけられ、ジィィィ。ッポ。いや待て、何だ。ポッ、って。


そうだ、長瀬山。あの時も、闇が広がったな。風見かぜみから、だったか。それで・・・・・・。



一柱ひとはしらでは、どうにも。と、なり・・・・・・殺神あやかみに。」


囁く、隠の守。


「ハッ、そうだ。」


全てを思い出され、大貝神。グイッと、酒をあおられた。






その昔。風見から溢れた闇が、大貝山の統べる地を覆った。闇の事なら禍津日神に、と御考えになり、大貝神。耶万神やまのかみに丸投げ。


一柱では止められない。そこで大稲神おおいなのかみ大倉神おおくらのかみ実山神みのやまのかみ三柱みはしらの直日神に応援要請。


しかし、我が道を往く三柱にアッサリ断られ、殺社あやのやしろへ。



耶万神、殺神。二柱ふたはしらがかりで大貝神を引っ張り、風見から闇を、追い払おうと為さった。しかし勢い余って、長瀬山へ。


にも拘わらず、あろうコトか大貝神。水豊神に丸投げ。




耶万神、殺神、風見神かぜみのかみ。応援に駆け付けた早稲神わさのかみ沼田神ぬまたのかみ五柱いつはしらで駆け付けるも、手遅れ。


大規模土砂災害により、山ごと流れていた。



アッという間に埋まり、多くの命が奪われた。そして、隠のときへ。


水豊神は全ての使わしめを放たれ、御隠れに。その時から長瀬山は、流山となった。



流山の保ち隠、とよ。水豊神に放たれた、使わしめの一妖である。ちなみに今でも、大貝神を恨めしぃく、思っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ