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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
402/1583

7-45 さぁ飲んで、飲んで


「突き刺し、吸わせた。で、次は。」


大王おおきみが、遅れてきたおみに問う。


「そっ、の。申し上げます。」


平伏し、答える。



ホゥ、そうか。大貝社おおかいのやしろに、血を吸ったこのつるぎを捧げ、祈りを捧げる。それから、奪うのか。


良い、良いぞ。良い事を聞いた。しかし気になる。そのめかんなぎおかんなぎ。これまでと、違っていた?



巫も覡も、神と人を繋ぐ者。しづめ西国にしくに真中まなか七国ななくにでは、神が乗り移る。とか何とか、言っていたな。


確か少ないが、中には。




「その巫、覡を添わせろ。子を、多く作らせろ。急げ!」


「ハッ。」






プッ。愚か浅はか、つたなみにくい。アァァァ。プッ、クフフッ。堕ちろ、堕ちろ、堕ちろ。闇が深まる、闇が輝く、闇が囁いている。


奪え、奪え、奪え。プッ、ククク。ククククク。



さぁ、踊りましょう。歌いましょう。


闇が溢れた。繋がるまで、もう少し。思い出すのよ、なぜ死んだのか。思い出すのよ、なぜ殺されたのか。思い出すのよ、なぜ奪われたのか。




耶万神やまのかみ。いや、この感じ。祝?」


おにの守が呟き、かがむ。土に軽く触れ、目を閉じた。



何だろう。この深く、冷たい闇は。生けにえにされたか、人柱ひとばしらにされたか。願いが届かず、そのまま。


いや、違う。冷たすぎる。もしそうなら、もっと熱い。


冷たい、それが全て。違い無い。戻ろう、祝辺へ。その前に、山守神やまもりのかみの御耳に。




「あらぁ? アラアラアラァ?」


・・・・・・。


「みぃつけたっ。」


・・・・・・。


「フッ。何、その顔。」


氷のように、冷たい目。蛇に睨まれた蛙のように、動けない。逃げろ、動け、急げ!




「えっ?」


逃げた。逃げられた。どこ、どうやった。


「ヲォォォォォォォ!」


闇がグネグネ、暴れ出す。スサシュルッと這いながら。


「捕らえろ、逃がすな。」


闇が細かく震え、蜈蚣むかでのような姿に。




気持ちが悪い。モヤモヤしているのに、デップリ太って。曲がりくねって動くのに、ガサガサと。


頭には大きな口。鮫の歯のように、重なって生えている。あれは、何だ?



根の国の生き物?


見た事が無い。隠のときでは無い。中つ国の生き物でも無い。なら、どこから。・・・・・・いや、いくら何でも。しかし、他には考えられない。



今は逃げる事だけ、考えよう。それからだ。






「らぁあ、かぁあ、らぁあ。」


「はい。」


「らんろかぁ、しらさいよぉ。」



山守神は、酒癖が悪い。とっても悪い。大貝神おおかいのかみ、ゲッソリ。いつもなら、こうなる前に止める。使わしめが。そう、いつもなら。


控えているのは、隠の守。止める気など無い。ニコニコと、お酌をする。



椀子蕎麦わんこそばのように!


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