表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
400/1582

7-43 狂信者


大王おおきみ真中まなかより差し出された奴婢ぬひ、調べ終えました。」


「で、どうだ。」


「使えるモノは、しづめ西国にしくにへ。残りは薬漬けにし、北へ送りました。」


「フンッ。寄越すなら、マシなのを寄越しやがれ!」


御尤ごもっとも。」



真中の七国ななくには、弱い。弱いから群がる、弱いから固まる。弱いから、夢を見る。争いの無い国? いくさの無い国? 皆、等しい国? 笑わせるな!


争いが有るから、戦になる。戦が有るから、負ける。負ければ全て、搾り取られる。奴婢を認め、定め、使う。そんな国に見る夢など、無いわ。



見るな、夢など。見ろ! 今この時、起きている全てを。奪え、動ける人を。奪え、使える人を。奪え、若い女を。産ませろ、強い子を!






「大王。対国ついのくに儺国なのくに珂国かのくに三国みつくに。やっと、動きました。」


「で。」


「どれも若く、健やか。真中と違い、鍛えてあります。」


「攫ったか。」


「はい。つわものの妻、子、思い人。おさの娘、きみの娘も、こちらへ。」


「良くやった!」



鎮の西国から耶万やままで、舟で海を行く。三国とも、大きな舟を持つ大国おおくに。兵、戦の具。食べ物、舟、女。全て、耶万のモノに。


奪えば奪うほど、耶万は大きく、強くなる。



北の地から風見かぜみも、早稲わさも手を引いた。なら、耶万が奪う。良く肥えた、豊かな地。水に困らない、豊かな地。


戦好きが多く、奪いたいだけ奪える。人も、物も、全て!






「大王。良那らなの使いが、大磯川の向こうより、申しております。『そちらへは行けぬ』と。」


「なにぃ?」


「迎えに遣った継ぐ子が、倒れました。それを見つけ、決めたそうです。『このまま良那へ連れ帰り、癒す』と。」


フッ、それは良い。


「許す。『病が癒えるまで、頼む』と、伝えよ。」


「ハッ。」



良いぞ、良いぞ。真中で散蒔ばらまいた病だ。持ち帰れ! そして、広めろ。そうだ。確か良那には、強い祝が居たな。女ならはらませ、男なら子を作らせる。






「大王。生まれました、男と女。はらに二人、入っていました。」


「でかした!」


二つ子。それも男と女。御告げ通り、生まれた。大王だ。やまとを一つにし、ワシが王となる。


「ハハッ。ワァッ、ハハハ!」


笑いが止まらん。


「どうした。」


なぜ暗い顔をする。


「産んでぐ。女が死にました。」


「死んだのは、親か。」


「はい。」


「捨てろ。」


「ハッ。」




耶万が、やまとを統べる。王は一人、ワシが大いなる王! 耶万神やまのかみ。心より、御慕い申し上げます。


これからも耶万を、お守りください。



全てを奪う。奪え、奪い尽くせぇぇぇ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ