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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
395/1634

7-38 言ってなかった?


走りながらでも、話が出来る。忍びってスゴイ。



五つの忍びは考えた。霧雲山の統べる地。その端で落ち着いて話せるのは、蔦山か良山よいやま


影と雲は、良村よいむらと結んだ。ひの、月、梟が後見うしろみに。おさに頼んで、麓の家を借りよう。



良村は、獣谷の隠れ里と結んでいる。霧雲山の忍びが来る事もあるが、助け合える。それに、他の忍びとも繋がっている。南からのわざわいを退けるために、しっかり備えている。


いや待て。このまま行けば、夜遅く。我らに気づいた犬が吠え、騒ぎに。そうなれば、叩き起こしてしまう。


良村は子を、何よりも慈しむ。子を守り育てるために、早稲わさを出たようなもの。いつだったか、そう聞いた。




化け王、ブラン様。獣谷の隠れ里、他の忍び。霧雲山に釜戸山。狩り人、釣り人、商い人、きこり。馬守や岩割など、他の村や国とも繋がっている。


良山は守りながら戦える、強い山だ。怒らせたくない。少しかかるが天霧山、矢弦社やつるのやしろまで行こう。それから共に。



五人は見合い、頷く。どうやら、同じ事を考えていたようだ。






天霧山、矢弦社。叩き起こされた祝、ウツラウツラと舟を漕ぐ。いつも早起き、社の司。呆れながらも優しく、祝を起こす。叩き起こされる前に気づき、起きた禰宜ねぎ。社の司と祝を放り、身を乗り出して、話を聞く。


一人でもシッカリしていれば、社は回る。ハテ、前にも同じようなコトが??? それは扨置さておき。






しづめ西国にしくにが、攻めて来る。」


影が纏めた。


「ドッと、束になって。」


雲が加える。


耶万やまに押し寄せる。」


月も続く。


「終わりだ。止められない。」


桧がニコリともせず、言った。


「固める! この地の守りを。」


梟が言い切る。



「獣谷の隠れ里は、表に出ない。出られるのは良村だけ。」



獣谷の隠れ里。後見は祝辺、人の守。ハッキリ言って、頼れない。当てに? ないナイ。


里長は妹の骨を抱いて、早稲を出た。隠れ里を作り、生きるために逃げた人たちを救う。そう決めて。


幾ら助けても、守れない。逃げても暮らせなければ、生きられない。落ち着くまで匿い、逃がす。そのために作られた、隠れ里。




良村。後見は、釜戸社。狩り人、釣り人、商い人。きこり、田の人、畑の人。すべて揃っており、強い。早稲の生き残りで、戦い慣れている。


良山から北へ南へ、東へ西へ。アチコチ出向き、仕入れて来る。食べ物、着る物、生きるのに要る物。他にもイロイロって、忍びか? 違うケド。



神、使わしめ。おにとき、妖怪の墓場。全て揃い、守られている。それだけでは無い。はじまりの隠神で在らせられる、蛇神が御坐す。めぐし子を守るためなら、御力をふるわれるだろう。






「どちらも、アンリエヌと結んだ。」


禰宜の言の葉に、雲を除く忍びたち。目を剥いてアングリ。


「言ってなかった?」


「聞いとらんっ!」


四つの忍び、雲を見つめる。


・・・・・・ハハッ。


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