7-34 真ん中はツライよ
マルはスヤスヤ、夢の中。大蛇はマルを優しくソッと、漆塗りの箱籠の中へ。マルコも、トコッと入る。
「また会おう。」
ニコッと蛇神。
「タノシミニシテ、ヲリマス。」
ニコリと鼠神。一本調子なのは・・・・・・。
中つ国。人の世は国つ神が、お守りくださる。隠の世では、古の隠神が治められる。見守るだけでは無くシッカリと。広いので、ザックリ分けて。
この度の禍には、闇が関わっている。
天つ国、中つ国、根の国。一つになって取り組まなければ、収まらない。捨て置けば、隠の世に禍を齎すだろう。
神はお守りくださる。いつ、いつまでも見守り一択。ハイ、とっても困ります。お願い! 隠の世を巻き込まないで。
隠神なら早いんです。サクッと裁いて、ポイッ。隠の世にも、奥津城は御座います。暗ぁくてジメジメした、獄のようなモノです。
生きたまま放り込まれるので。フフッ。
同じ神でも、違いますよねぇ。天つ神、中つ神、禍つ神。直日も禍津日も、ミ・テ・ル・ダ・ケ。
神がヤラカセバ動くのに、人がヤラカシテモ動かない。ん? そうか、当たり前か。神じゃないモン、人だモン。
皆皆様、御手を拝借! ヨヨイがヨイッ。
『みんな仲良く、暮らしましょう。みんな仲良く、暮らしましょう』 あっソレ。
『諍いなんて、忘れましょう。笑い幸せ、招きましょう』 あぁドッコイ。
『誰でも、みんな、いつか死ぬ』 あぁソレソレ。
「鼠神?」
・・・・・・ハッ! イカン、イカン。
「南の地において、闇が溢れた。中つ国として、どのように御考えか。」
キリッ。
「それは・・・・・・。」
雲井社にて。人の世の神と、隠の世の神が相対する。話し合うのは、南の地でのアレコレ。
ここは、霧雲山の統べる地。東は、神成山の統べる地。西は、畏れ山の統べる地。
山守神、渦風神、火炎神。三柱は『結びの契り』を交わされた。何かあれば、直ちに動く。中つ国では知られた話。
霧雲山の南を統べるのは、大貝山。神成山の南を統べるのは、具志古。畏れ山の南を統べるのは、津久間。
大貝神、具志古神、津久間神。三柱とも、何と言うか・・・・・・。我が道を往く。
南の地は、何れも平たい。よって戦が絶えない。だから、なのだろうか。直日神なのだが三柱とも、社から御出に為らない。知らぬ存ぜぬで、押し通される。
この度の事。今、直ぐにでも動かなければ、大戦になる。とはいえ、中つ国での事。しかし捨て置けば、荒ぶられる。
“もしも” に備え、隠の世と根の国は結んでいる。人の世に構わず、守り抜くだろう。そして・・・・・・。
考えただけで、クラクラする。南の三柱には、シッカリ動いてもらわねば!
北は穏やか、南は大荒れ。真ん中はツライよ。




