表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
381/1634

7-24 困るんだよねぇ


津久間社つくまのやしろ大貝社おおかいのやしろ具志古社ぐしこのやしろ。どのやしろも、難しい。


南の地は、血を多く吸っている。いくさや争いを嫌い、禍津日神まがつひのかみを避けて御出でだ。



大稲社おおいなのやしろ大倉社おおくらのやしろ実山社みのやまのやしろ


蛇を使わしめとし、闇とも近いが、難しかろう。三柱みはしらで結ばれ、わざわいに備えて御出でだ。それに直日神なおびのかみで在らせられる。禍津日神とは、何とも・・・・・・。



良那社らなのやしろも、難しい。良神らのかみ那神なのかみ。二柱で、一神。とても睦ましく、思い合って御出でだ。神議かむはかりの折、言の葉は交わしてくださるが、何とも。




戦好きな村か、国。となると早稲わさ風見かぜみ。ウン、無い。


早稲神わさのかみは戦や争いを嫌い、引き籠って御出でだ。神議りでもない限り、社から御出にならない。


早稲の人は戦好きで、闇に近い。早稲神は戦を嫌い、闇を避けられる。


・・・・・・諦めよう。




風見神かぜみのかみ耶万神やまのかみと同じ、禍津日神。使わしめは蛇。


闇に近く、禍の種を蒔く事を、生き甲斐にして御出でだ。しかし直日神に敗れ、コソコソ隠れるようにして、蒔いて居られる。


頼れば何とか。しかし、当てにならない。直日神が現れ為されば、少しも迷わず直ぐ『裏切り? 生き残りを選んだのだ』とでも、おっしゃって。


・・・・・・ハァ。






神は、人の思いから生まれる。耶万の人は、欲が深い。神に祈れば、何でも叶うと。神に願えば、何でも許されると。



耶万社やまのやしろには、祝も禰宜ねぎも居ない。見える社の司はオソロシイ事に、神より王を崇める。


めかんなぎにもおかんなぎにも、見えない聞こえない。有りもしないのに力が有ると、力を持っていると信じて、疑わない。




耶万神は、禍津日神。違い無い。違い無いが、違うのだ。


確かに、伊弉諾尊いざなぎのみことが残された言の葉によって、酷く傷つかれた。だから女を傷つける神にだけは、なりたくない。そう仰って、人に寄り添われる。


なのに、なのに耶万の人は!






「こんにちは。雲です。イロイロ抱えてらっしゃいますね。」


ニコッ。


「・・・・・・えっ?」


キョロキョロ。


「見えますか、蛇サン。オレには見えてますよ。声も聞こえます。」



雲? 空に浮かぶ? 人にしか見えぬが。


いや待て、雲と言ったな。確か、霧雲山の統べる地。天霧山の矢弦社やつるのやしろ。祝が力を与えたと。



山で暮らす全ての人に、祝の力を分け与えた。その中から強い者が忍びになり、あちらこちらで動いでいる。噂だが、そう聞いた。大きくは、違って無いハズ。



「何の御用でしょう。」


「お教えしようと、思いましてね。」



早稲は諦めたよ。


北を攻めない、仕掛けない、目指さない。そう誓って、引いた。死にたくナイもんネ。あのおさ、賢いよ。


言っとくケド、脅してナイよ。向こうから、言い出したコトだから。



風見も諦めた。


勝ち目、無いからね。早稲と組んだのにさ、仕掛けようとしたんだ。だ・か・ら、フフッ。分かる? 


死にたくない。だから北を攻めない、仕掛けない、目指さない。そう誓ったよ。



耶万、何とかしてよぉ。困るんだよねぇ。トテモ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ