7-13 抱きしめたい!
フクとマルは手を繋ぎ、心の声が聞こえるかどうか、試した。一度、聞こえない。二度、聞こえない。三度、やっぱり聞こえない。
聞こえないと分かったので、麓の倉まで行く事に。しかし、中には入らない。
罪人は縛られ、太い丸太に括り付けてある。口に布を噛ませたので、叫べない。逃げられない、動けない。
それでも何が起こるか、誰にも分からない。
雲井社から、麓の倉へ。大蛇の背に乗り、寛とした気持ちで、空の旅を楽しむ。マルもマルコも、キラッキラ。
フクはコンの力で、一っ飛び。
しがみつき、『ヒエェェ』。早かったケド、アッという間だったケドね。帰りはキラさま、御願いします。とまぁ、心の中で大騒ぎ。
蛇も狐も、飛べません。隠や妖怪なら、飛べます。狐はモフモフ、蛇はスベスベ。マルはルンルン、フクは・・・・・・。
先に来ていた、ツルとゴロゴロ。倉の横に建てられた家で整え、備えている。隅っこには、フク。
とってもコワカッタようで、ノビています。
「さぁ、着いた。」
そっと舞い降り、マルを降ろす。
「ありが、とうっ。」
マル、ニコッ。
「キャン。」 アリガトウ。
マルコ、尾をフリフリ。
「マルさま。こちらへ。」
すっかり良くなったフク。マルを連れて、離れへ。大蛇とマルコも、ついて行く。
「使わしめが剥がした魂は、抜け殻になった体から離しても、死にません。」
ポカンとするマル。
「けれど遠く離せば、死んでしまいます。」
「そうれすか。」
パチパチと瞬き。
「もぉぉ、抱きしめたい!」
フク、大騒ぎ。心の声ではアリマセン。抱きしめて、言っちゃってます。
「落ち着け。」
「蛇神のな。」
「愛し子だぞ。」
冷や汗をかく、三妖怪。
気を取り直して。
「これが、耶万の人から剥がした、魂です。」
・・・・・・キョトン。
「大きいでしょう?」
フクに問われ、ニッコリ。
「はいっ。モヤモヤ、真っ黒ですねっ。」
「フフッ、そうね。」
この耶万の人は、壊れてしまっている。人では、無くなっている。だから私の祝の力で、困っている人を助ける。役に立つ!
剥がされた魂を、包んで清める。そうすれば、壊れていても、話が聞ける・・・・・・はず。
焦っちゃイケナイ。落ち着いて、ゆっくり。そうすれば、きっと。
「キュゥン。」 マルナラデキルヨ。
ペロペロしてあげる。だから、笑って。
「ありが、とうっ。」
マルコを撫でて、ニッコリ。
「はじめ、ますっ。」
キリッ。




