7-2 隠の集い
中つ国には人の世と、隠の世が在る。
闇により隔てられた二つの世は、隣り合っている。とはいえ、入れない。力を持っていなければ。
やまと隠の世、和山社。朔の夜に、隠の神議りが開かれる。
やまと隠の世を統べる、はじまりの隠神は蛇。どちらの世にも、目を光らせて御出でだ。
この度は神のみ為らず、釜戸社の裁きに出た、隠や妖怪たち。牙滝神の使わしめ、チュウから聞いた者。伝え聞いた者など、続続と集まった。
「恐ろしい。」
「耶万の夢を吸い込めば、壊れるそうだ。」
「あの木菟が、動けなくなった。」
「ほんの少し、吸い込んだだけで。」
「風上へ逃げたのに。」
耶万の夢。アンリエヌで禁じられている、恐ろしい毒。化け王が忌み嫌い、締め出した毒。
吸い込んでしまった木菟は直ぐ、良村の毒消しを飲んだ。だから助かった。動けるようになった。忍びは辞めたが、育てとして生きている。
霧雲山は動かない。山守神は、社に籠られたまま。祝辺の守は話し合い、人の守を王に。
大蛇神と、黒狐神。隠の守を、コテンコテンに。見たかったなぁ。
懲らしめられて、やっとだ。まぁ王に据えても、守れるとは限らない。だから集まった。
「耶万を止める。」
「風見を止める。」
「早稲を止める。」
五つの忍びが動き、長を葬った。良村と結んだ忍びたちも、動いている。霧雲山の忍びは、まだ。
野比も野呂も、祝辺や山守を信じない。当てにしない。関わろうとしないし、人も送らない。忍びを遣わせる事で、従わせている。
祝辺の守は逆らえない。鎮野には、手が出せない。その鎮野が、野呂と野比を認めた。大泉と組んで、平良を押さえた。烏は祝辺の守に付いているが、人は違う。
「祝辺は弱い。」
「山守も弱い。」
「人柱が増えた。」
「生け贄も増えた。」
グラグラ、グラグラ。山の頂を守るには、強い力が要る。祝の力が、多く要る。なのに弱い。
継ぐ子の力が、ドンドン弱まっている。霧雲山への思いが、弱まっている。
「愛し子。」
「良村のマル。」
「釜戸社、エイ。」
「雲井社、フク。」
良山、釜戸山、乱雲山には、愛し子がいる。
マルには清めと守り、二つの力が。エイは幼いのに、裁きを行う。フクには、隠し事が出来ない。全て聞こえてしまうから。
釜戸山は、人のイザコザを収める。乱雲山は、妖怪のイザコザを収める。霧雲山は、全てを見定める。
「霧雲山の代わりに、良山を据えよう。」
「祝辺の守より、マル。」
「山守神より、蛇神。」
長く生きれば生きただけ、力を増す。それが隠神。はじまりの、しかも蛇。どれだけ強い力を御持ちか。考えたダケで、クラクラする。
モチロン、鯖を読んでますヨ。本当の年? ひ・み・つ。




