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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
354/1634

6-188 ただいま


目をキラキラ輝かせ、楽しそうなマル。抱っこされ、幸せそうなマルコ。ドキドキしながら、尾を振るコナツ。


舟は鮎川から森川に入り、良村よいむらの舟寄せへ。



「さぁ、着いた。」



舟を寄せ、縄をかける。マルコとコナツを舟から降ろすと、マルがゆっくり、舟から降りた。それからクルッと振り返り、ノリから荷を受け取る。


犬の背負子しょいこを、慣れた手つきでマルコに。コナツはキョトンとしながら、ジッと見ている。



「マル、手伝うよ。後ろを向いて。」



傷は癒え、あざも消えた。腕も上がるようになったが、じるとビッと、痛みが走る。


骨は折れていない。筋を痛めたまま、ほったらかしていたのだろう。さじも上手く、使えるようになったが・・・・・・。


釜戸山ので湯に浸かって、楽になったと言っていた。良山よいやまにも出で湯があれば、早く治るだろうに。れる事は無いが引かない時は、葉をあぶって当てている。



「あいがぁとお。」


ニコッ。


「ワン、ワワン。」 ノリサン、タダイマ。


みよしに前足を乗せ、目を輝かせている。


「あ、シゲさん。ノリコ。」


マルが手を、マルコが尾を振る。コナツは、お座り。






シゲとノリは舟を引っ繰り返し、頭の上に乗せて運ぶ。二人の間にマル、隣にマルコ。後ろにコナツ。フンフンと楽し気に、山を登る。


初めて良山に来た時はフラついていたが、今ではシッカリ歩いている。仔犬たちが登れない時は、ノリコが咥えて、ヒョイ。これは変わらない。



「戻ったぞ、マル。マルコ。」


「おりょち、おかえい。」


「キャ、キャン。」 オカエリ、オロチ。



「蛇神様。」


「チュウ、ありがとう。」



大蛇おろちは釜戸山に残り、アレやコレを片付けた。マルと共に戻りたかったが、どうにもならなくて。


良村の舟を使い蛇に守らせ、念のためチュウを乗せた。



「蛇神様、行って参ります。」


「気をつけてな。」


「ハイッ。」



務めを果たしたチュウは、ニッコリ笑って、石積みの社へ。おにときを通り、牙滝社きばたきのやしろを目指す。アチコチ、寄り道をしながら。


モチロン、言いらします。釜戸山、隠の世であった、アレやコレをネ。逃げ道も抜け道も、塞ぎますよ!






舟を小屋に置き、村へ。



「思い出すな。」


「あぁ。」



折れそうな程、細かった。痣だらけで、足を引きずって歩いていた。今でも細いが、しっかり歩けるようになった。ニコニコ笑っている。



「みんなっ、たらいま!」



腰と腕に瓢箪ひょうたんを付けたまま、マルが駆け出す。良村の皆に囲まれ、幸せそう。


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