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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
352/1634

6-186 何があった?


ダァァァ。酷い目に遭ったぁ・・・・・・。


なぜ誰も、助けようとしない。見えないなら、まぁ。見えるなら、助けるだろう!



解らない、分かりたくも無い。気付いては、いる。霧雲山。祝辺への思いが、少しづつ離れている事に。


守る力を持っていて、守らなかった。止める力を持っていて、止めなかった。そう思われている。




守りたかった。だから守った、霧雲山を。止めたかった。だから止めた、おにの動きを。・・・・・・それが、誤りだと。




早稲わさ風見かぜみ耶万やま。遠く離れた南の、平たい地から次から次へ。



獣谷の隠れ里は、霧雲山に付いている。そう思い込んでいた。祝辺の守が認めた、隠れ里。同じ早稲から逃げてきた良村よいむらとも、繋がっている。だからコチラに。


甘かった。獣谷の隠れ里は、良村に付いた。どちらにも化け王が。ブランさまに見張らせ、見守って御出おいでだ。






良村には、隠神のめぐし子がいる。


牙の滝の主さま、赤目の白蛇さま、蛇神様。幾万もの時を生き、強く輝き続ける。そんな隠が憑いた子に、九尾ここのおの黒狐が。今の牙滝神きばたきのかみに、使わしめチュウまで。


あの隠鼠。あちこちのやしろへ使いを出し、広めている。いや、もう広がっている。鼠の力は侮れない。まず、数が多い。多すぎる。



釜戸山から牙滝社きたばきのやしろへ戻り、牙滝神の御許しを頂いてから、動く。そう思うよな? しかし違った。釜戸山から動きやがった。




守だぞ。霧雲山の、祝辺の守。平良ひらの烏に乗っている、隠の守!


・・・・・・帰ろう、霧雲山へ。






「ただいま、戻り、ま、した。」


・・・・・・何が、あった?



虚ろな瞳、ダラリと垂れた腕。獣のような呻き声、流れ続ける涙。人の守も隠の守も、揃っている。私が溺れている間に、何が。



「良く戻った。平良、疲れただろう。ゆっくり、お休み。守はコチラへ。」


「は、い。」



不気味な笑みを浮かべる守に、嫌ぁな感じが。そして・・・・・・。


アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!






「牙の滝の幼子おさなご、蛇神の愛し子マル。諦め、引きます。宜しいですね。」


・・・・・・。


「ハァァ。まだ足りませんか。」


「い、いや。そ、の。」


「あ、あ。そ、の。」



・・・・・・。アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!



「牙の滝の幼子、蛇神の愛し子マル。諦め、引きます。宜しいですね。」


「は、い・・・・・・。」


「人の守よ、おさになれ。隠の守を束ね、霧雲山の統べる地を、守り抜け。」


「は、い。」



蛇神様、黒狐さま。おおせ言に従い、人の守を、統べる地の長に。


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