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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
350/1634

6-184 人望も隠望も、無いんだね


おにの守が一人、足りない。釜戸の裁きを覗き見るため、先乗りした隠の守が戻らない。


考えられるとすれば、釜戸山から他の地へ。だとすれば、なぜ言伝ことづてを残さなかったのだろう。


・・・・・・残せなかった。



霧雲山。祝辺から守の力を使って、見渡す。守られている地は、隠されている地は、どこだ?


そこに居る。霧雲山を守れる、祝の力を持つ子が。牙の滝から、飛び降りても死ななかった子が。


探せ、探せ、探せ!






幾らか残し、平良ひらに乗って探しに。その中の一人、いや一羽か? 空から川へ。


勢いよく叩き落としたのは、三鶴神みつるのかみの使わしめハツ。いわく、『だって、目障りだったんだモン。』



中井・木下・三鶴。大田・稲田・草谷。6つの村からなる、三鶴の国。


三鶴の村の真ん中にある、三鶴社みつるのやしろ。湖の畔にある。三鶴神も使わしめも、争いを嫌う。つまり、いくさを好むモノがキライ。人でも隠でも、何でも。




北山社きたやまのやしろから助け出された人は皆、望み通りに。生きたいと願う者は、ゆかりの地で暮らす。死にたいと願う者は、心安らかに旅立った。


罪を犯した者は裁かれ、罰を受ける。なのに!




『探せ』だぁ? 何を探しているか、聞くまでも無い。祝の力を持つ子、蛇神のめぐし子だろう。させるか! と相成り、アップアップしています。


多くの舟が通り過ぎるのに、隠も妖怪も助けません。隠望、無いんですね。サッサと平良から離れれば、烏は助かるのに。






平良の烏はカァカァ鳴く、あの烏です。人にも見えます。なのに、なぜ誰も助けないのでしょう。


助けられないのです、見えませんから。


ハツに叩き落とされる時、身を守るため、隠の力で包みました。つまり、隠の力が勝っています。見える人にしか、見えません。



ノリに見えたのは、タマタマ。茅野神かやののかみの使わしめ、ヤノの力で舟ごと、包まれています。


大蛇おろちとコッコに頼まれて。良村よいむらの舟にはタエも乗りますから、快く引き受けてくれました。



ノリにはチュウやヤノの姿も、バッチリ見えています。狐は犬とは違いますが、子狐なので『まァ、いっか』と。


鼠は摘まみ出そうとしましたが、ノリコが庇ったので乗せました。ノリですから。犬好きですから。




見える人たちも、知らんぷり。


社の司なら、知っています。隠や妖怪の力で、山裾の地が守られた事を。化け王の才で、助けられた事を。祝辺の守が守ろうと思えば、守れた事を。


霧雲山の統べる地は今、曲がり角。これから守がドウ動くかで、全てが決まります。


それはそうと、隠の守サン。早く気付かないと。使い烏、守らないと。そろそろ、力尽きちゃうよ。






「戻りましたぁ。」


隠のときに叩き落とされ、コテンコテンに打ち負かされ、閉じ込められ、おのの行いを振り返り、追い詰められ、笑って解き放たれました。グッタリ。


「聞こう。」


人の守よ。ボロッボロだよ、隠の守。少しは労わりましょう。


「牙の滝の幼子おさなご、蛇神の愛し子です。手を引きましょう。」


ヨレヨレのフラフラなのに、キリリと言い切った。


「ならぬ。」



生きて戻った隠の守、マホ。クワッ! 鬼と化し、他の守に懇懇こんこんと諭す。


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