表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
342/1634

6-176 友達の輪


タエには先読の、強い力がある。小さな体に収まり切らず、祝の力が暴れ乱れ、闇に引き摺られている。



うつわが出来るまで、茅野社かやののやしろで。それから野呂へ。」


狐だが犲のような強い目で、シゲを見つめる。



「神のおおせ、なのですね。」


この感じ。聞こえないように囲われている。そうまでして、人であるオレに。


「釜戸山の灰が降る地で、良村よいむらかなう地は無い。めぐし子とは違う人の子は、人の手でしか守れない。」


神は御守りくださる。おにも妖怪も、力を持たぬ人には触れられぬ。・・・・・・守れるのなら、守りたい。


「そう、ですね。」


オロチ様も、そうだったのだろう。あざだらけで死を願うマルを、人から守れなかった。愛し子でも、守れなかった。


・・・・・・今も?




「マルは闇を抜け、牙の滝を潜った愛し子。我は隠。何が起きても、隠は隠。命を奪ってでも、マルを守る。」


大蛇おろちがフンッと、胸を張る。


「オロチ様。奪うなら、マルから離れてください。」


「ナッ、何を。」


「あの子は優しい。目の前で奪われるのを見れば、傷つくでしょう。」


「・・・・・・見えぬよう、努める。」



良村は獣谷の隠れ里と手を携え、人を逃がす。早稲わさにいた時から続けている。生かすため、逃がして来た。生かすため、逃がし続ける。



子を守り、村を守る。子を育てるには、暮らす家が要る。人を育てるには、村が要る。良村は良山よいやまにある。



良山を守れば、良村を守れる。良山を守れば、良村の皆を守れる。だから良山が攻められれば、守るために戦う。命を奪う。


オレたちも守り、奪う。オロチ様がマルを守るために、命を奪うなら止めない。止められない。だから。


その時は、マルに見えないように。



「シゲ。守るため、共に戦おう。」


「はい。オロチ様。」






「・・・・・・シゲ。」


「はい。」


「タエも、逃がしてほしい。」


「分かりました。しかし、霧雲山は。」



霧雲山は、霧雲山の人にしか入れない。入れるのは神、隠、妖怪。獣たち。霧雲山に入るなら、霧雲山の狩り人と。谷河の狩り人、木菟ずくか鷲の目に頼まなければ。



「祝に会い、話をつける。大実神おおみのかみの使わしめ、オミとは長い付き合いだ。隠のときを通り、良村へ伺おう。大実社、石積みの社は。」


「マルが朝夕、山歩きの時に清めています。」


「そうか。オミは。」


「オロチ様の御姿は見えますが、他は。」


良村で見えるのは、マルだけ。ノリは犬と犲なら分かるが、見えないと言っていた。




「隠の世で、保ち隠のヘグとな。そろそろ、社へ戻るだろう。」


「そうですか。」


ヤノ、ホッとする。


「良山は強い。許し無く山に入れば、命が無い。隠、妖怪とて同じ。我の許し無く入らぬ。祝辺の守も、思い知った。」


大蛇、ニタッと笑う。


「・・・・・・それは。」


知りたいような、知りたくないような・・・・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ