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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
341/1635

6-175 人を守れるのは、人


良い子はスヤスヤ、夢の中。ワンコは寄り添い、グゥ。



「シゲ。少し、良いかい?」


人の姿をしている。それでも、人じゃ無いと分かる。きっと、神の。


「どちらの、お使いでしょうか。」


茅野神かやののかみの使わしめ、ヤノだ。」


ポンッと、狐に。とっても強そう。



茅野神のおおせにより、タエをやしろに迎える。社の司を送り届けた飯田の者は、残らずひとやに入れられた。


社の司は、引き取る事になった娘を二人、連れ帰る。どちらも細いから、子と変わらない。しかしタエも、となると。


あやてだてで、連れ帰れる。しかし、怯えさせたくない。力を貸しては、くれまいか。



良山よいやまへ戻るには、底なしの湖から鮎川を通る。茅野近くに舟を寄せ、タエを降ろす。それだけで良い。




「分かりました。タエを茅野の近くまで、送り届けます。そののちは、どうなさるのですか。」


「人の姿になり、手を引いて連れ帰る。」



釜戸社かまどのやしろが調べても、どこの子か分からなかった。しかし、北山社きたやまのやしろから闇が除かれた事で、全てが明らかに。皆、ゆかりの村や国へ。


とても良い事だが、舟に乗り切らない。だから話し合う事に。



飯田の国に引き取られる娘は、細くて小さかった。一隻で帰れるが、舟に乗り慣れていないらしい。


玉置の国からは、宝玉の社の司が来た。引き取るのは、姪のミヨだけ。舟で来たので、帰れる。しかし三人、増えた。玉置に縁のある者が、他にも居たのだ。



豊田の国からは、社の司が四人。二隻で来た。引き取るのは、二人。何とか乗れる。


川北の国からは、社の司が一人。引き取るのは、娘と幼子おさなごの二人。こちらも、何とか乗る。



そう、足りない。舟に乗れるのは、大人が三人。玉置の国が連れ帰るのは、娘二人、子も二人。



幸い釜戸山には今、良村よいむらの舟が二隻ある。ノリが乗って来た舟と、シゲがマルを乗せて来た舟だ。


そこでシゲが玉置の子を二人乗せて、近くまで送り届ける事に。念のため、舟にはノリコも乗せる。


ノリの舟には、マルと二匹の仔犬。タエ一人なら、乗せられる。






おさ、タエを託せるか。」


神のおおせで、社に迎えるのでは? ・・・・・・託す、か。茅野社かやののやしろでは、守れないのか。


「そうだ。タエは飯田と、山守に狙われる。」


山守社やまもりのやしろは、生けにえを欲しがる。そう聞いた。抑えられるのは、祝辺の守だけ。その祝辺には託せない。幸せに、なれないから。


「そうだ。着いてぐ、おににさせられる。」


人を守れるのは、人だ。マルは踏み出した。だから、オロチ様のめぐし子に。マルが望んだようにタエも望まなければ、幸せを掴めない。


タエは愛し子に、なれない。だから良村に? 大実神おおみのかみ、あの石積みの社。違うな。託すなら強い山。乱雲山、天霧山。・・・・・・霧雲山。


「そうだ。霧雲山、野呂に託す。」





霧雲山には、多くの村がある。祝辺を崇めている。しかし中には、祝辺に人を送らないと決めた村も。その一つが、野呂。


鷲の目を遣る代わりに、厳しく見張っている。祝辺の守でも手を出せない、人を守る村である。


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