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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
332/1635

6-166 させるか!


カチン、ジュル、シャッ。


「カァァァァァァァ!」 ヒョエェェェェ!


平良ひらの烏、絶叫。



マズイまずい、ま・ず・い! このままでは、噛み殺される。逃げなければ、使わしめたちに。そうなれば、しかし・・・・・・。どちらに転んでも、終わりだ。


「どうし」


うっ、るさぁぁぁいっ!


「なっ!!!!」



今すぐ、引く。霧雲山へ戻る。国つ神、使わしめ。おにや妖怪、神に仕える者ら。敵に回せば、山を守れなくなる。霧雲山を守るのが祝辺の守。守れなくなれば、この地は滅ぶ。


皆さま。落ち着いて、良くお考えください。あの引き籠もり、コホン。山守神やまもりのかみたった一柱ひとはしらで、霧雲山と統べる地を守れると?


一度ひとたびなら、統べる地は何とか。二度ふたたびなら、共倒れ。霧雲山が崩れ、多くの命を飲み込むでしょう。統べる地は乱れ、奪い合い、滅ぶでしょう。


我らは隠、祝辺の守。一塊ひとかたまりになって、当たらねば。人の守では叶わない事をすため、力を尽くす。違いますか?



「しか」


引く。続けぇぇ!



カッと見開き、二柱ふたはしらに平伏す。後退あとずさり、やしろの外へ。それからサッと飛び立ち、釜戸山を一回り。五羽、仲良く? 霧雲山へ。






「祝辺は引いた。武田も、引け。」


釜戸社の祝、エイ。逸早いちはやく立ち直り、ズバッと切り出す。


「しかっ、・・・・・・ぐるじぃ。」



鴫山神しぎやまのかみの使わしめ、マイ。紫の目をした、二岐ふたまたの白い蛇。社の司クアを、ギリギリと締め上げた。


守っていたのでは無く、逃がさないように絡みついていたのだ。


一つ頭でスリスリ、ベロン。もう一つの頭で、ペコリ。



「マイさま。その、そろそろ。」


エイが、恐る恐る。


「オヤまぁ、御見苦しいモノを。平に、平に。」


マイの蜷局とぐろの中で、クアが白目をむいて、泡を吹いていた。



エイは大きな布の向こうにいるので、クアの姿は見えない。それでも見える。何かを締め上げた。で、聞こえた。あの声は鴫山の、社の司に違い無い。


言の葉を濁らせていた。さぞ苦しかろうと、止めに入った。優しい娘である。





鴫山神。争いを好む武田を疎み、関わらず、傍で御覧じ合わすのみ。


使わしめマイ。呪いの生けにえにされ、頭をち割られた。生まれ変わる時、二岐に。闇に飲まれる事なく、妖怪となった。


鴫山の祝は代代だいだい、先見の力を生まれ持つ。稀に、守りの力を持つ子が生まれる。その一人が、マルの祖母。



ハッキリ言おう。神、使わしめ、祝。揃って、人嫌い。にもかかわらず、攫われた祝女の孫、マルが掴んだ幸せを守ろうと。


武田は、闇の力を欲している。いくさを仕掛け、勝つために。させるか! というコトで、マイが送り込まれた。



社の司クアは、守られて居たのでは無い。捕らわれ、引かれ、見張られていたダケ。そうとは知らず、守られているとウキウキ。


・・・・・・憐れだ。


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