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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
325/1634

6-159 ハイ、外れ


もう、何なの。いくら酷い目に遭ったからって! 子よ、子。嬰児みどりご、赤ちゃん! 捨て置け? 生けにえに捧げろ?


もぉぉ、怒った。


同じ目に合わせるだけじゃ、足りない。知ってるんだからね、聞いたんだからね。隠したって、隠せないんだからね。





「見えるか。」


「はぁ?」


「答えよ。それぞれ目の前に、どなたが、いらっしゃる。」


・・・・・・。


おかんなぎの娘よ、答えよ。」


「蛇神様が御坐おわすわ。美しく澄んだ、大きくて黒い目で私を見つめて。『我を信じよ』って。」



ハイ、外れ。


前に居るのは、猫です。蔦神つたのかみの使わしめ、ミャアです。大きくて黒い目をした、ニャンコです。


因みに、蛇神様。赤い目をした、白い大蛇ですヨ。プカプカ浮いて御出でです。


そうそう。今の、牙滝神きばたきのかみ。大きくて黒い目をした、白い蛇です。牙滝社きばたきのやしろに、いらっしゃいますよ。


あの、聞こえますか? ニャンコの声、届いていますか?




「覡の娘よ。もう一度ひとたび、聞こう。」


「だから、蛇神様よ。黒い目で、実った稲穂のような御姿をした、美しい蛇さま。『気にするな』ですって。」



見えないなら、見えないと。聞こえないなら、聞こえないと言えば良いのに。ハァ。じゃあ、次。




「覡の力を持つ、祝の子よ。答えよ。」


「何を。」


「目の前に、どなたが、いらっしゃる。」


・・・・・・。


「答えよ。」


「どこかの社の、使わしめでしょう。白く輝く、大きなやまいぬさまが。火のような赤い目で、私を見つめて御出でです。『怯えるな』と。」



ハイ、外れ。


前に居るのは、鶴です。三鶴神みつるのかみの使わしめ、ハツです。白くて大きな鳥です。


因みに、狗。確かに、いらっしゃいますよ。アナタの後ろに。おいぬさまのめぐし子に言えないコト、しましたね。それはもう、御怒りです。


あの、聞こえますか? 鶴の声、届いていますか?




「覡の力を持つ、祝の子よ。もう一度、聞こう。」


「白くて大きな、犲さまだ。赤い目で、見つめて御出でだ。『胸を張れ』と。」



あぁら、まっ。見えてないし、聞こえてない。ミャアさまもハツさまも、呆れて御出でだわ。





「良く、分かった。仕置を言い渡す。釜戸の仕置場にて、立てなくなるまで打ち付け、痣だらけにする。其ののち火口ひのくちへ飛び込め。」


「嫌よ! 蛇神様、お助けください!」


「御願いします。お助けください、蛇神様。」


・・・・・・。茅野神かやののかみの使わしめ、ヤノ。アングリ。因みに、お狐さまです。





「断る。」


「聞こえた! 『断る』って。」


ソウデスネ。



「仕置場へ。」


「嫌ぁぁぁぁ!」


「離せぇぇぇ!」



釜戸社かまどのやしろの祝、エイ。ドッと疲れて、グッタリ。ソッと差し入れられたで湯団子を、幸せそうにモグモグ。


もう一踏ひとふん張り、ね。


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