表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
320/1634

6-154 本気、出しちゃうよ


北山の社の司、めかんなぎおかんなぎも。何も見えないし、聞こえない。それなのに神の御告げだと偽り、多くを壊した。


心、魂、光。祝の力を求めて攫い、追い詰めた。更に、更に強い力を求め、子を・・・・・・。



北山社きたやまのやしろ


神は御隠れに、使わしめも消えた。残った祝はおさを止められず、自ら命を。


柱が折れれば、倒れ壊れる。北山に残されたのは、深い怒りと悲しみ。



いくさ、戦で人が死に。戦、戦で里は荒れ。戦、戦で心を無くし。戦、戦で闇が広がる。


里から村へ、村から国へ。闇を纏った長の目に、暮らす人など入らない。



思うがままに動かして、弱い者から騙し得る。根こそぎ奪って、高笑い。死ぬまで奪って、知らんぷり。儲けは全て、独り占め。別け配るなど、考えない。


楽して得する事だけを、求め続けて、こうなった。



社の司、巫、覡。神に仕える者たちが、神を語って悪巧み。


北山には、牙滝社きばたきのやしろがある。北山社を排しても、差し支えない。とはいえ、御隠れになったと知らず、北山神を崇める人も。・・・・・・少ないが、残っている。





「フゥ。」


「エイ? 疲れたなら少し、休みなさい。」


フシャァと激怒していたが、一瞬で冷静になった。


「ポコさま。ありがとうございます。」


ニコッ。



神のおおせだからと、釜戸社かまどのやしろへ来ようとしなかった、北山の巫と覡。


宝玉神たかたまのかみの使わしめ、ケロさまに引っ立てられたのに、神の御業みわざだと思い込んでいる。



どんなに騒いでも、変わらないのに。


偽れないよ、明らかになったから。嘘ついたって、隠したって、全て知られる。人はおにや妖怪には、決して勝てない。受け入れなさい。


北山社の、捕らえた社の司に見えない事は、はじめから分かっていた。巫にも覡にも、見えないと判った。だから、迷わない。



・・・・・・このたびの裁き。多くのやしろから、使わしめが御越しくださった。つまり、大いに御怒りなの。




攫われた祝や、産まされた子が生きているのか、死んでしまったのか。どのように生き、死んだのか。どのように生き、殺されたのか。


ケロさまが御力を使われた。という事は、北山に張られていた薄皮が。隠や妖怪が出入りし、隠されていた全てが、明らかに。



長や社の司だけだったのに、気付けば数多あまた


宝玉神たかたまのかみの使わしめ、ケロさま。水勢神みずせのかみの使わしめ、シラユキさま。日吉神ひよしのかみの使わしめ、クロさま。蔦神つたのかみの使わしめ、ミャアさま。鴫山神しぎやまのかみの使わしめ、マイさま。茅野神かやののかみの使わしめ、ヤノさま。三鶴神みつるのかみの使わしめ、ハツさま。


皆さま、とても悲しそうな御顔を・・・・・・。


恐らくは、北山に閉じ込められていた魂を迎えに。そこで御覧に為られたのでしょう。全てを。




「仕置を言い渡す。北山社、社の司ケイ。死をもって、償わせる。その命でもって、あがなえ。」


「ま、待ってくれ。ヒィィ。」


「ウゥゥゥ。」 カマレタイノカ。



釜戸山の犬は、あごの力が強い。大きな犬になると、勢い余って噛み切る事も。まぁ、まれだが。


ソレは扨置さておき。控え目に言って、ワンコたち。噛みつく気、マンマンである。



ここは釜戸社。


裁きが行われているのに、祝の言の葉を遮った。いつもなら『仕置場へ』と、続くのだから。


人に比べれば、犬の頭は小さい。けどな。オレたち、ちゃんと覚えているゾ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ