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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
313/1634

6-147 北山の蛮行


しまいの裁きを始める。」


釜戸社かまどのやしろ。社の司が、重重おもおもしく言った。



甥っ子から『なぜ社の司になれたの?』と思われているシロだが、運でココまで来た訳では無い。


このたびの裁き。あまりに酷すぎて、別の人のように変わってしまった。





いくさを繰り返し、気がついた時には、祝の力が消えていた。」


めかんなぎおかんなぎはいても、祝がいない。神や使わしめ、おになどの声が届かなければ、戦に勝てない。そう考え、他の地から祝や、祝の子を攫い、集めた。


これだけでも許しがたいが、更に罪を重ねた。


攫った娘が十二になると、同じく攫った男に薬を盛り、言えないような事をさせた。身籠った娘が産んだ子に、祝の力が無ければ闇に飲ませ、力を得ようとした。




北山社きたやまのやしろ。社の司、ケイ。なぜ力を求めた。」


「なぜ? 幾度いくたびも言った筈だ。おさが罰を受け、死んだ。次の長が決まらず、力を求めた。それだけだ。」



巫は『祝や祝の子を攫い、子を産ませよ』と。覡は、『力の無い祝の子を闇に飲ませ、新たな力を得よ』との、神の声を聞いた。


神の求めに従うのは、当たり前の事。


そもそも。盛った薬とやらは、どこにある。あったとして、私が仕入れたと言い切れるのか。


どこの誰が、言っているのだ。居るならぐ、連れて来い。






・・・・・・酷いモンだな。


巫も覡も、神の声を聞いたのか? 思い込みでは、ないのか? 北山の長が決まらないなら、狩頭に頼めば良い。北山にも、狩り人はいるだろう。


そもそも、祝に何を求めているんだ。


早稲わさにも、祝は居なかった。社の司が一人で、切り盛りしていた。確か東山にも、祝はいない。それでも潰れず、あるじゃないか。



それにしても、気になるな。


祝人も祝女も、穏やかで清らかな人がなる。そう聞いた。そんな人を従わせる薬、人の心を捻じ曲げる薬。


・・・・・・耶万やまと、繋がっている?





「それだけ。で、済ませられるとでも?」


「子には、難しいか?」


「解らぬ。解るように、纏めよ。」



オイオイ、北山の。アンタ、神に仕えてるんだよな。隠や妖怪、見えてるんだよな。


マズイぜ。ピリピリしているのに、気付かないのかよ。うわぁぁ、天霧山に帰りたい。



離れに御坐おわす蛇神様、九尾ここのおの黒狐さま。どちらも激しく、御怒りだ。それに何より、隠が多すぎる。


人の隠は、守る地から動かない。なのに、ここに。ってコトは、この隠たち。



頼むから、気を確かに持て。神の使いなら、闇堕ちするな。隠と違って、妖怪は戻れないぞ。神も道連れだぞ。仕える神、全て。




ザッと見る限り、良村よいむらと岩割からは、長。川田と馬守からは、狩頭。残りは、社の司。


日吉社ひよしのやしろ蔦社つたのやしろ宝玉社たかたまのやしろ鴫山社しぎやまのやしろ飯野社いいののやしろ茅野社かやののやしろ飯田社いいだのやしろ三鶴社みつるのやしろ東山社ひがしやまのやしろ川北社かわきたのやしろ豊野社とよののやしろ豊井社とよいのやしろ豊田社とよたのやしろ添野社そえののやしろ


豊田の国は、他に比べて多く、攫われている。




引き取られた子は他の離れで、隠や妖怪に守られている。ここにいるのは、これから引き取られる子や、行き場の無い子など。


・・・・・・死んだ人の方が、多いんだよな。


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