表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
旅立ち編
31/1617

2-21 羨ましいわけでは

シバが、霧雲山へ帰った。コウはシオから。ツウはアミから。いろいろ学んでいた。


三日くらいで、釜戸社へ。そう思っていたのに、どうやら、裁きが長引いているらしい。



「近ごろ、良くないことが・・・・・・多くてね。」


荒っぽい村は多い。三鶴、玉置、豊田。川北、武田、東山。北山、飯田。しかも、三鶴と玉置は、早稲と組んだ。


鳥の谷、シシの山、熊実、獣山。四つの狩り場は、釜戸山が守っている。とはいえ、決まりを守らない者もいる。



村に狩り場。裁きを待つ人たちが増えに増え、守り人の村だけではなく、狩り人の村のひとやまで、いっぱいだ。


釣り人の村の獄だって、ゆとりがあるとは言えない。だから、守り人の村では、新たな獄を建てた。それでも足りないのだ。



「コウ。皆が皆、悪いわけじゃない。良い人だって、罪を犯す。そうなる前に、頼るんだ。助けてくれる人に、助けてもらえ。助け、助けられる。助け合い。見返りなんて、求めない。助けるのは、助ける人のためじゃない。助けることで、いつか助けてもらえるんだ。」


爺様も言っていた。助けるのは、その人のためじゃないって。




四月の後。


「釣り長。お待たせしました。」


「シロさま。もう、宜しいのですか。」


「何か、ありましたか。」


「いえ、獣谷の。」


「あぁ、はい。ありがとう。」



早稲の長と倅ジン、村人タツ。三人の仕置が、獣谷の仕置場にて、執り行われた。


シロは仕置場を清めるために、獣谷へ出向いていた。仕置にも立ち会ったから、二度も行き来したのだ。心も体も、クタクタだろう。




コンコン。


「釣り長。お呼びでしょうか。」


「二人とも、入っておいで。」


子が二人。稲田の子か。


「女の子がツウ。男の子がコウです。こちら、釜戸の社の司、シロさまだ。」


「はじめまして。ツウ、コウ。」


「はじめまして。シロさま。」



二人とも賢そうだ。コウは、ジロの孫らしいな。少し似ている。目元のあたり。それにしても、仲が良いな。



「シロさま。どうなさいました。」


「どう、とは。」


「いえ。ずっと、黙っておられるので。」


しまったぁぁ。怯えていたのか、二人とも。それで、手をつないで。



「いや、すまない。考え事をしていた。」


「そうですか。」


良かったぁ。ごまかせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ