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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
302/1634

6-136 止めてあげて


尾がスウスウする、嫌呂きろろです。モフモフが恋しい・・・・・・。


しき妖怪から、良い妖怪へ生まれ変わりました。片付けも済み、ノビィッ。



近近ちかぢか悪鬼おきも引っ越してきます。ワクワク。畑も作ったし、悪鬼が来たら、田も作ろうっと。


要る物は、盗らずに作る。良い妖怪への、取付とりつきだいっ!




にしても近ごろ、気になるんだよなぁ。何だろう、この感じ。


悪意おいは魂を剥がされ、祝辺の守に祓われた。罪を償えば、生まれ変わる。かも、しれない。


まぁ、ずっと先の事さ。


だからコレは、悪意じゃ無い。悪意じゃ無ければ、誰だ?


やまと・・・・・・じゃ無い。海の向こうから来た? にしては、ボンヤリしている。


残るは、イヤイヤ。いくら何でも、それは無いわぁ。そうなら逃げる、引き籠もる。






「嫌呂さん、来ちゃいました。」


「待ってたよ、悪鬼。」



抱き合うコンコン。二妖とも、寂しかったんだね。


流山のおにときには、悪しき妖怪もいる。しかし悪さなんて、決して出来ない。流山の保ち隠は、恐ろしく強い。ビシバシ厳しく、取り仕切っている。


水豊神みとよのかみの使わしめ、とよ


神が御隠れになり、保ち隠になった。他の元、使わしめと共に、目を光らせている。




悪意おいつるんでいた嫌呂と悪鬼が、この流山に住み着くのだ。備えすぎるコトは無い。



今でもハッキリ覚えている。驚いた。ギラギラしていた嫌呂の目が、別狐のように穏やかに。


何があったのか、涼しそうな尾を抱きしめ、言ったのだ。『良い妖怪になります』と。



『そうですか』と答えられる程、甘くない。


ぐに悪鬼を呼び寄せ、『共に暮らします』と言い放ちやがった。コホン。言い出した時には、狐火で焼いてやろうかと。





「悪鬼。ここで仲良く、暮らそうね。」


「はい、嫌呂さん。よろしくお願いします。」


キャッキャ、ウフフ。



・・・・・・。我らは、何を見せられているのだ。狐は寂しがり屋?  まぁ、そうだな。


はしゃぐ狐に、見守る狐。コンコンいっぱい。モフモフ好きには、堪らない。


それは扨措さておき嫌呂のカン、大当たり。禍津日神まがつひのかみです。




隠は何があっても、隠。神は闇堕ちすると、妖怪に。


隠は祀られれば神になれる。しかし妖怪がなれるのは、使わしめ。神には、なれない。



一度ひとたび闇落ちすれば、ずっと妖怪のまま。悪しき妖怪として、禍を撒き散らし続ける。


祝辺の守なら、チャッチャと祓えるハズ。


気付いていない? そんなワケない。気付いていて放っているなら、何かに使う気なのか。


生けにえおとりまと、目当て?




霧雲山の統べる地に、闇が広がっている。それがもし、祝辺の守の力が弱まった事と、ほんの少しでも繋がっていたなら。


霧雲山だけなら、守れる。しかし、そうなっているとすれば、困った事どころの騒ぎでは無い。



ヘグとオミは頭を抱える。


霧雲山の妖怪の墓場は、固く閉ざされている。知りたくても、どうにも。



「蛇神様のおおせに従い、悪しき妖怪を。」


「気乗りしませんが、使いましょう。」


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