6-136 止めてあげて
尾がスウスウする、嫌呂です。モフモフが恋しい・・・・・・。
悪しき妖怪から、良い妖怪へ生まれ変わりました。片付けも済み、ノビィッ。
近近、悪鬼も引っ越してきます。ワクワク。畑も作ったし、悪鬼が来たら、田も作ろうっと。
要る物は、盗らずに作る。良い妖怪への、取付きだいっ!
にしても近ごろ、気になるんだよなぁ。何だろう、この感じ。
悪意は魂を剥がされ、祝辺の守に祓われた。罪を償えば、生まれ変わる。かも、しれない。
まぁ、ずっと先の事さ。
だからコレは、悪意じゃ無い。悪意じゃ無ければ、誰だ?
やまと・・・・・・じゃ無い。海の向こうから来た? にしては、ボンヤリしている。
残るは、イヤイヤ。いくら何でも、それは無いわぁ。そうなら逃げる、引き籠もる。
「嫌呂さん、来ちゃいました。」
「待ってたよ、悪鬼。」
抱き合うコンコン。二妖とも、寂しかったんだね。
流山の隠の世には、悪しき妖怪もいる。しかし悪さなんて、決して出来ない。流山の保ち隠は、恐ろしく強い。ビシバシ厳しく、取り仕切っている。
水豊神の使わしめ、豊。
神が御隠れになり、保ち隠になった。他の元、使わしめと共に、目を光らせている。
悪意と連んでいた嫌呂と悪鬼が、この流山に住み着くのだ。備えすぎるコトは無い。
今でもハッキリ覚えている。驚いた。ギラギラしていた嫌呂の目が、別狐のように穏やかに。
何があったのか、涼しそうな尾を抱きしめ、言ったのだ。『良い妖怪になります』と。
『そうですか』と答えられる程、甘くない。
直ぐに悪鬼を呼び寄せ、『共に暮らします』と言い放ちやがった。コホン。言い出した時には、狐火で焼いてやろうかと。
「悪鬼。ここで仲良く、暮らそうね。」
「はい、嫌呂さん。よろしくお願いします。」
キャッキャ、ウフフ。
・・・・・・。我らは、何を見せられているのだ。狐は寂しがり屋? まぁ、そうだな。
はしゃぐ狐に、見守る狐。コンコンいっぱい。モフモフ好きには、堪らない。
それは扨措き嫌呂のカン、大当たり。禍津日神です。
隠は何があっても、隠。神は闇堕ちすると、妖怪に。
隠は祀られれば神になれる。しかし妖怪がなれるのは、使わしめ。神には、なれない。
一度闇落ちすれば、ずっと妖怪のまま。悪しき妖怪として、禍を撒き散らし続ける。
祝辺の守なら、チャッチャと祓えるハズ。
気付いていない? そんなワケない。気付いていて放っているなら、何かに使う気なのか。
生け贄、囮、的、目当て?
霧雲山の統べる地に、闇が広がっている。それがもし、祝辺の守の力が弱まった事と、ほんの少しでも繋がっていたなら。
霧雲山だけなら、守れる。しかし、そうなっているとすれば、困った事どころの騒ぎでは無い。
ヘグとオミは頭を抱える。
霧雲山の妖怪の墓場は、固く閉ざされている。知りたくても、どうにも。
「蛇神様の仰せに従い、悪しき妖怪を。」
「気乗りしませんが、使いましょう。」




