6-135 使えるモノは、何でも
先読の力は強すぎる。
避けて通れないが、違う道もある。見落としているだけ。禍が起こるのは、違い無い。
矢弦の禰宜には、先見の力がある。
祝、禰宜、雲。どれも落ち着いているのだから、直ぐにドウコウならない筈だ。
霧雲山を止められるのは、天霧山と乱雲山。
どちらの山も動かない内は、焦らずとも良い。水は滞る事なく、流れている。流れが変われば、マルを乗せて戻る。
「気付かぬような、隙があった。」
「とはいえ、守の力で閉じ込められている。」
・・・・・・。
「動きが無いのは。」
「その所為。」
ヘグとオミが見合い、頷く。
霧雲山の妖怪の墓場は、どこにも繋がっていない。死して猶、強い力を持つ妖怪が眠る。
祝辺の守しか入れない墓場へ、何かが忍び込んだ。何かの弾みで、漏れ出した。
五つの忍びによって、霧雲山は見張られている。
樫や上木なら、素振りから探れる。手遅れになる前に、動くだろう。それからでも遅くない。
「蛇神様。釜戸山へ行かせず、残す。という御考えは。」
「案ずるな。我が守る。」
天霧山は、何とかなるだろう。しかし乱雲山は?
いくら妖怪が守っていても、禍津日神とは・・・・・・。
もし乱雲山が闇に飲まれれば、恐ろしい事になる。
妖怪の墓場は繋がっている。保ち隠が倒れれば、隠の世が落ちる。勢いに乗って、妖怪の墓場へ傾れ込めば、一溜りも無い。
守りを固めようにも、力が足りない。
「案ずるな。」
「そうは仰いますが、蛇神様。」
「乱雲山には、天つ神の鏡がある。」
・・・・・・?
「稲田のツウが、鳥の谷で授かった。」
・・・・・・!
ヘグもオミも驚きすぎて、何も言えない。只只、ポカンとしている。
え、稲田?
三鶴の国の、一つだよな。狩長が村長になって、大田や草谷と組んで、三鶴の長に詰め寄った。とかいう、あの?
稲田の祝には、月の声が聞こえる。雲ではなく、月だ。なのに授かったのか。天つ神の鏡を。
神は気紛れ。国つ神でアレ、いやいや畏れ多い。何を考えているのだ、オレは。・・・・・・天つ神なら、如何程か。
何はともあれ、乱雲山は守られている。天霧山も、乗り切るだろう。
「起こる禍は、三山に任せるとして。」
「良山。マル頼りとは、情けない。」
「中つ国は、任せよ。天つ国、根の国は動かぬ。」
そうでしょう、そうでしょうとも。隠の世で収めましょう。何としても、収めなくては。使えるモノは、悪しき妖怪でも何でも。
そうそう。・・・・・・流山は、どうだろう。
山が崩れて、埋まったまま。天つ国、中つ国、根の国。何れにも通じていない。
「悪しき妖怪が要るなら、嫌呂を使え。」
余り物のような扱いですね。良い妖怪に生まれ変わっている、かもしれませんよ。




