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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
301/1633

6-135 使えるモノは、何でも


先読の力は強すぎる。


避けて通れないが、違う道もある。見落としているだけ。わざわいが起こるのは、違い無い。


矢弦の禰宜ねぎには、先見の力がある。


祝、禰宜、雲。どれも落ち着いているのだから、ぐにドウコウならない筈だ。



霧雲山を止められるのは、天霧山と乱雲山。


どちらの山も動かない内は、焦らずとも良い。水はとどこおる事なく、流れている。流れが変われば、マルを乗せて戻る。




「気付かぬような、隙があった。」


「とはいえ、守の力で閉じ込められている。」


・・・・・・。


「動きが無いのは。」


「その所為せい。」


ヘグとオミが見合い、頷く。



霧雲山の妖怪の墓場は、どこにも繋がっていない。死してなお、強い力を持つ妖怪が眠る。


祝辺の守しか入れない墓場へ、何かが忍び込んだ。何かの弾みで、漏れ出した。



五つの忍びによって、霧雲山は見張られている。


樫や上木なら、素振そぶりからさぐれる。手遅れになる前に、動くだろう。それからでも遅くない。




「蛇神様。釜戸山へ行かせず、残す。という御考えは。」


「案ずるな。我が守る。」


天霧山は、何とかなるだろう。しかし乱雲山は?


いくら妖怪が守っていても、禍津日神まがつひのかみとは・・・・・・。




もし乱雲山が闇に飲まれれば、恐ろしい事になる。


妖怪の墓場は繋がっている。保ちおにが倒れれば、隠のときが落ちる。勢いに乗って、妖怪の墓場へなだれ込めば、一溜ひとたまりも無い。


守りを固めようにも、力が足りない。




「案ずるな。」


「そうはおっしゃいますが、蛇神様。」


「乱雲山には、あまつ神の鏡がある。」


・・・・・・?


「稲田のツウが、鳥の谷で授かった。」


・・・・・・!


ヘグもオミも驚きすぎて、何も言えない。只只ただただ、ポカンとしている。




え、稲田?


三鶴の国の、一つだよな。狩長が村長になって、大田や草谷と組んで、三鶴の長に詰め寄った。とかいう、あの?


稲田の祝には、月の声が聞こえる。雲ではなく、月だ。なのに授かったのか。天つ神の鏡を。



神は気紛れ。国つ神でアレ、いやいや畏れ多い。何を考えているのだ、オレは。・・・・・・天つ神なら、如何程いかほどか。


何はともあれ、乱雲山は守られている。天霧山も、乗り切るだろう。




「起こる禍は、三山みつやまに任せるとして。」


良山よいやま。マル頼りとは、情けない。」


「中つ国は、任せよ。天つ国、根の国は動かぬ。」



そうでしょう、そうでしょうとも。隠の世で収めましょう。何としても、収めなくては。使えるモノは、しき妖怪でも何でも。




そうそう。・・・・・・流山は、どうだろう。


山が崩れて、埋まったまま。天つ国、中つ国、根の国。いづれにも通じていない。



「悪しき妖怪が要るなら、嫌呂きろろを使え。」



余り物のような扱いですね。良い妖怪に生まれ変わっている、かもしれませんよ。


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