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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
旅立ち編
30/1618

2-20 うちにおいで

「やぁ、シバ。」


「こんにちは。釣り長。」


「こんにちは。変わり、ないかい?」


「はい。この通り。」


「やぁ、チビ。」


「ワン。」コンニチハ。


「そうだ、シバ。会わせたい子がいる。」




「こんにちは。」


子の声がした。


「コウ、ツウ。おいで。」


「はい。」


初めて会う子たち。どこかの村の子だろう。逃げて来たのか。


「稲田の村の子だ。女の子がツウ、男の子がコウ。こちら、霧雲山の、谷河の狩り人シバ。」


「はじめまして、ツウ。はじめまして、コウ。」


「はじめまして、シバさん。ツウです。」


「はじめまして、シバさん。コウです。」



「コウ。どこかで会ったかな。」


「爺様と、狩りに出た時、でしょうか。」


「爺様。」


「はい。稲田のジロです。」


「ジロの孫か。」


「はい。そうです。」


「そうか、あの時の児か。大きくなったな、コウ。」



「みんな、ジロに良くしてもらったんだよ。」


釣り長が教えてくれた。だから良くしてもらえるんだ。


「そう、とても良い人だ。」


嬉しいな。オレも良い人だって言われるような狩り人になろう。


「ジロさん、どうしてる?」


「春が来て、すぐ。眠るように。」


「そうか。」


そういえば、かなり爺様だったなぁ。ん? なぜ草谷へ行かなかった。稲田は、わかる。三鶴に媚びているらしいな、あの長。



「コウ。村を出たのは、ツウのためかい。」


「えっ。」


揃って、ポッと赤くなった。


「ち、違います。」




「そうか、そんなことがあったのか。」


酷い話だ。


「霧雲山に来るかい。」


「いっ、いっん、ですか。」


やったぁ!


「待て、待て。お預かりしているだけ。決めるのは早い。」


釣り長、慌てる。大慌て!



「もし、だ。日吉山へ、となったら。谷河の狩り人から『霧雲山に来ないか』と言われました。そう答えればいい。」


「そうですね。」


釣り長、ホッ。シバ、ニッコリ。




「裁きまで、どのくらいでしょう。」


「さあ。でも、かかるだろうね」


ひとやが、いっぱいらしい。狩り長も言っていた。


「釣り長。そう、待てません。戻らなければ。」


まぁ、そうだろう。


「他の山へ、となった時。私が二人を引き取ります。」


「そうか。しかしな、シバ。」


「はい。」


「エイさまが、他の祝。野比か、雲井社くもいのやしろ。そうなると、送り届けねば。他の山へ。」


「もし乱雲山なら、託します。日吉山なら、諦めません。」


「何か、あるのか。」


日吉山には多くの村がある。戦って守れる、強い山だ。それなのに?


「玉置が。早稲と組んだ、とか。」


早稲っ!まさか。


「深川を上る気か。」


「エイさまも、驚かれたようで。」



玉置の国。戦わなければ、どうにかなるのか? というくらい、戦好きな国だ。春先、川田の村に負けた。三度も続けて。それで、懲りたんじゃなかったのか。


「そうか。さぞ、驚かれただろう。」


釣り長が、大きく頷いた。


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