6-131 とんでもない話
みんなで楽しく、夕餉を食べる。ワイワイ、ゴックン。モグモグ、ニコニコ。食べ終えたら、お片付け。一休みして、おやすみなさい。
良い子はスヤスヤ、夢の中。
「みんな、聞いてくれ。」
シゲが、ゲンと聞いた話を、戸惑いながら話す。
耶万が使った毒は、アンリエヌの国で差し止められている物だった。やまとには咲いて無い、赤い花。
海の向こうから、持ち込まれたのだろう。それに他の毒を加え、毒を強めてあった。
海の向こうから持ち込む。言うのは容易い、行うのは難しい。何と引き換えにしたのか、サッパリ分からない。しかし、毒は作られた。
沼田の地で育てられている、黄色い花の根に麻。風見が集めた毒に、それらを加えて作られた。それが、耶万の夢。早稲で使われ、整えられた薬という名の、毒。
「とんでもない話だ!」
思わず、カズが叫んだ。
早稲で毒を盛られたのは、弱い人たち。もし出ていなければ、良村の子らが。そう考えただけで、怒りが込み上げる。
足りない、だから攫わせた。ヌエとカツが捕まらなければ、多くの子が・・・・・・。許せない!
ヒトは一人じゃ、悪さ出来ない。ヌエが戻れば、また。カツが戻れば、使うだろう。
「なぁシゲ。ヌエとカツ、生きてんのかな。」
「死んだとは、聞いてない。」
早稲で動けるのは、蔦山へ攻めた者くらい。半ばは死んだ。あの毒は一度でも使うと、頭が壊れる。
真っ直ぐ歩けなくなったり、歪んで見えたり、震えが止まらなくなったり。汗が止まらなくなったり、無い物が見えたり、眠れなくなったり。いきなり叫び出したり、いきなり走り出したり、いきなり倒れたり。
耶万や風見から人が来て、何とかなっているらしい。
送られたのは、攫われ人。誰かを質に取られたのか、諦めた顔をしている。そう聞いた。
ヌエとカツが生きて戻ったら、早稲は再び、牙を剥くだろう。あちこちで悪さをして、毒を撒き散らす。釜戸山の灰が降らない地で、暴れ回る。
慣れた頃、川を上がって来る。かもしれない。
こうなったのは、オレたちがヌエとカツを売ったからだ。とか何とか言って、集る気だ。
トットと投げ込めば良いのに。火口にさ。
「そうなると思う。」
センが、ボソッと言った。
海の村でな。干し貝とか仕入れた時、聞いた。耶万の夢を使って、脅し取るヤツが増えたって。
傷に効く薬より、毒消しが欲しいって言うからさ。『何でだ』って。そしたら、そう言った。
あの毒に効くのか、分からない。けどまぁ、木菟には効いたからな。ほんの少しなら、効くのかも。
思っただけで、言ってない。聞かれたら、『さあな』で通した。
聞かれたってコトは、知ってるか聞いたか。
肉も良いけど、薬が欲しいって。助けると思って、持って来てくれって。そりゃもう、凄かった。
耶万、風見、早稲。南の地で、好きに暴れてる。奴等のコトだ、必ずまた此処いらで、何か遣らかす。
釜戸社の裁きは、厳しい。次は無い。火口へドボンか、獣谷の仕置場か。
「遣らかす前に、取り締まれないモンかなぁ。」
タケが呟くと皆、ウンウンと頷いた。




