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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
296/1633

6-130 泣いちゃうよ


マルは祝の子。良村よいむらを守るために、強い祝になると決めた。しかし、それから大いに悩む。


マルの神様は、大蛇おろち良山よいやま御坐おわすは、大実神おおみのかみ。大蛇はおにの神、大実神は国つ神。選ぶなんて、出来ない。



「マル。そう思い悩むな、気にするな。」


悩んじゃうし、気になるの。


「良村を守るのは、マルの幸せのため。良山の神は、大実神。石積みの社。大実社おおみのやしろを守れば、それで良い。」


そうなの?


「クゥン?」 ソウナノ?


仲良くキョトンとする、マルとマルコ。





「良うっ」 ムググ。


あれ? キョロキョロ。


「どうした、マル。」


何か聞こえたんだけど・・・・・・。


「気の所為せいだろう。」


「クゥ?」 イイノ?


踏んずけてるの、神様でしょ。良くないと思うよ。あっ、大蛇も神様だった。でもなぁ。仲良くっ、フフッ。くすぐったいヨ。




「クゥ。」 イイナァ。


マルにじゃれるマルコを見つめ、コハルが呟く。


飼い主のノリは今、釜戸山にいる。ノリコは連れて行ってもらえたのに、コハルは村に残された。


シゲコもシロもクロも、良くしてくれる。村の人たちが撫でてくれる。それでも寂しい。


ノリさん、早く帰ってきて。コハル、泣いちゃうよ。







「キャ、キャン。」 カマドノヤシロカラ、ツカイガキマシタ。


「来たか。」


大蛇、誰が来たの?


「釜戸山から、使いが来た。北山での祝攫い、そのしまいの裁きが始まるのだろう。」


・・・・・・そう。


「マル。一人では無い、我も行く。」


「キャン!」 マルコモ!




ちなみに、シゲは獣谷の隠れ里にいる。呼び出されたのだ。


ゲンと共にブランから、耶万やまが持っていた毒の話を聞き、これからの事を話し合っている。







森川で釣りをしていたソラが、釜戸社からの使いに声を掛けた。


麓の家へ導き、持て成す。その間にアオがシゲコと村へ走り、コタを連れて来た。


釜戸山からの使いは、言った。北山や武田から守るため、子らを大きな布で作った、囲いの中に隠すと。



マルにオロチ様が憑いている事は、祝ならぐに気付く。だからマルは、社の離れで待つ。


父と母の姿を見たいなら、見つからないようにソッとのぞき見られる。





釜戸社かまどのやしろとしても、良村から出す気は無い。


清めと守り、二つの力を持つ子。北山も武田も、競うように求めるだろう。マルを守るには、他の子と別けて扱うよりほかに無い。



うけたまわりました。」


よろしく、頼みます。」







「マル、どっか行っちゃうの?」


社の使いを見送ると、アオがコタに尋ねた。


「聞いたのかい?」


「ごめんなさい。」


「釜戸社に呼ばれただけ、直ぐに戻るよ。」


ソラとアオが、ホッとして笑った。


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