6-130 泣いちゃうよ
マルは祝の子。良村を守るために、強い祝になると決めた。しかし、それから大いに悩む。
マルの神様は、大蛇。良山に御坐すは、大実神。大蛇は隠の神、大実神は国つ神。選ぶなんて、出来ない。
「マル。そう思い悩むな、気にするな。」
悩んじゃうし、気になるの。
「良村を守るのは、マルの幸せのため。良山の神は、大実神。石積みの社。大実社を守れば、それで良い。」
そうなの?
「クゥン?」 ソウナノ?
仲良くキョトンとする、マルとマルコ。
「良うっ」 ムググ。
あれ? キョロキョロ。
「どうした、マル。」
何か聞こえたんだけど・・・・・・。
「気の所為だろう。」
「クゥ?」 イイノ?
踏んずけてるの、神様でしょ。良くないと思うよ。あっ、大蛇も神様だった。でもなぁ。仲良くっ、フフッ。くすぐったいヨ。
「クゥ。」 イイナァ。
マルに戯れるマルコを見つめ、コハルが呟く。
飼い主のノリは今、釜戸山にいる。ノリコは連れて行ってもらえたのに、コハルは村に残された。
シゲコもシロもクロも、良くしてくれる。村の人たちが撫でてくれる。それでも寂しい。
ノリさん、早く帰ってきて。コハル、泣いちゃうよ。
「キャ、キャン。」 カマドノヤシロカラ、ツカイガキマシタ。
「来たか。」
大蛇、誰が来たの?
「釜戸山から、使いが来た。北山での祝攫い、その終いの裁きが始まるのだろう。」
・・・・・・そう。
「マル。一人では無い、我も行く。」
「キャン!」 マルコモ!
因みに、シゲは獣谷の隠れ里にいる。呼び出されたのだ。
ゲンと共にブランから、耶万が持っていた毒の話を聞き、これからの事を話し合っている。
森川で釣りをしていたソラが、釜戸社からの使いに声を掛けた。
麓の家へ導き、持て成す。その間にアオがシゲコと村へ走り、コタを連れて来た。
釜戸山からの使いは、言った。北山や武田から守るため、子らを大きな布で作った、囲いの中に隠すと。
マルにオロチ様が憑いている事は、祝なら直ぐに気付く。だからマルは、社の離れで待つ。
父と母の姿を見たいなら、見つからないようにソッと覗き見られる。
釜戸社としても、良村から出す気は無い。
清めと守り、二つの力を持つ子。北山も武田も、競うように求めるだろう。マルを守るには、他の子と別けて扱うより他に無い。
「承りました。」
「宜しく、頼みます。」
「マル、どっか行っちゃうの?」
社の使いを見送ると、アオがコタに尋ねた。
「聞いたのかい?」
「ごめんなさい。」
「釜戸社に呼ばれただけ、直ぐに戻るよ。」
ソラとアオが、ホッとして笑った。




