6-124 骸は返せないから
集まった忍びたち。それぞれの社へ戻る。後を付けさせるほど、祝辺の守は愚かでは・・・・・・ない。
辛い事を強いられたのだ。チョット寄り道。釜戸山の出で湯に浸かって、一休み。などと、思っても行かない。行けない。
「戻りました。」
「で。」
オレ一人で、ヒタスラ話しました。
あぁ疲れた。休みたい。え、何を聞かれたって? 斯く斯く然然で、真っ直ぐ参りました。褒めて。
守も、愚かではありません。遅い気はしますが、気付いたようです。コソコソ嗅ぎ回ろうなど、考えもしない。そんな力、有りません。有れば、疾うに動いてます。
強い力、持ってんのにねぇ。
スイマセン。クッタクタなんで、出で湯団子が食べたい。疲れた時には、甘いモノ。団子の中に入っている煮豆、甘くて美味しいですよねぇ。ジュルリ。
「難しい事を、良く成し遂げた。ゆっくり休め。」
「はい。では、これにて。」
大仕事を成し遂げたクワ、家に戻るとバタンキュー。スヤスヤ夢の中。うぅん、もう食べられなぁい。ムニャムニャ。
「申し上げます。」
「ウム。」
良村で休んでいた木菟が、鷲の目と共に発った。休み休み、霧雲山へ。毒は抜けたようで、動きに斑は無い。
北山社を巻き込んだ、祝攫いの裁き。やっと始まったが、障りが多くて進まない。
攫われた祝は、元居た社へ戻される。しかし、生まれた子の引き取り手が無く、困り果てている。
幾人かは、縁の者が。
引き取られた子は、良村の一人だけ。他は全く。歪んだ子など、手に負えない。関わりたくも無い。そんなトコロかと。
「良村か。」
他にも幾人か、頼んでみては。そんな声も出ましたが、出来たばかり。
狩り、釣り、商いで、食べ物に困っていないようですが、大人が少ない。子を増やせば、行き届かなくなる。子の幸せを考え、諦めたようです。
あれだけ揃った村は、珍しい。もう二年もすれば、川田を超えるでしょう。
もし今、その力が有れば。そう考える者は多く、話だけでもと。祝の『早い』の一声で、立消えになりました。
「良村の強さ。他とは、比べ物にならない。」
黙って聞いていた力頭が、口を開いた。
「冬から春にかけての戦において、知れ渡った。」
難しい顔で、弓長が続ける。
初めての冬を越すため、多く備える。戦が始まる前に、あちこち聞き回る。良山から離れた地に罠を仕掛け、守り戦を貫く。戦が終わるまで待ち、骸を整え葬る。
これらを全て、遣って退けたのだ。
特に難しいのは、骸の扱い。
冷えるとはいえ春、雪解けの頃。戦が終わって直ぐ、見に行った。どの骸も・・・・・・。言の葉に出来ない程、酷かった。
それでも良村の者は、そのまま葬らなかった。
矢を抜き、汚れた衣を替え、手を胸に置く。骸を整え、布を被せ、そっと埋めた。今でも、花が手向けられている。
「誰でも参れるように、墓を作った。」
「骸は返せないから、と。」




