6-121 移動会議中
「どうする。」
良村。早稲から逃げ出した人たちが、良山に作った村。子が多いと聞く。あの山は確か、大実山だった。
あの裁きの後、釜戸社の祝に許されて。山に、他に村が無ければ良いとか、なんとか。
守り戦に強く、村どころか、山にすら入れなかった。
戦慣れしているだけ? いいや違う。何が何でも守ると、力を尽くしたのだ。
「行くしか、あるまい。」
気になると言えば、牙滝神。御力が弱く、御成り遊ばしたか? 通り過ぎた時、感じた畏れは。
代替わり為されたとしても。まぁ、良い。憑いたのなら調べ上げ、妨げになる前に消す。
悪しき望みを抱く事も。しかし強いたとして、隠が黙って従うものか。魂を剥がし、根の国へ叩き込むだろう。
「探る前に、結ぶとはな。」
気掛かりと言えば、釜戸社が重い腰を上げた、北山の闇について。
二つの力を持つ子を産ませるため、あちこちから祝や子を、攫い集めたとか。
閉じ込め、騙し、唆し。生まれた子に力が無ければ、闇を纏わせるため、死にたくなるまで虐げ続ける。幾人か、堕ちたとか。
「悪い話では無かろう。」
その中の一人が、牙の滝から飛び降りた。
助ける前に、谷河の狩り人に拾われた。その後、良村の犬好きに。顔見知りだったらしい。
釜戸山に迎えに行くと言い、干し肉と竹筒を渡した。それまで重かった足取りが軽くなり、狩り人が驚いた。
「どちらに付く。」
良村に戻って、話し合ったのだろう。暫くして、長と犬好きが釜戸山へ向かった。守り長からザッと話を聞き、引き取る事に。帰りに仔犬を一匹、譲り受けていた。
早稲から逃げ出せたとはいえ、良村の者は歪んでいる。深く傷つき、話せない子もいるそうだ。
引き取られた子を守る事はあっても、虐げない。
「どちらにせよ。」
子が幸せに暮らせるのなら、それで良い。
引き取られた子に憑いた隠が、蛇神なら。譲り受けた仔犬が、子から離れなければ。祝の力が強すぎて、子が育つまで眠っていたなら。
拗らせる前に、後見になる。若しくは、忍びの結びに加わる。何れも、難しいか。
「桧は、流れに乗る。」
忍びの結びが付けられた。仕掛けず、裏切らぬ。それだけ。
良村は、守り戦に強い。戦い慣れている。どう足掻こうが、敵わない。
「月も、同じく。」
良村から仕掛けたり、裏切る事は無い。早稲から生きて、逃げ出せた。それが全てだ。
「梟も、続く。」
早稲は、悪い話しか聞かない。
良村は新しいが、馬守が付いた。近いだけでは付かない。後見は、釜戸社。流れに乗り、見守ろう。




