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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
287/1632

6-121 移動会議中


「どうする。」


良村よいむら早稲わさから逃げ出した人たちが、良山よいやまに作った村。子が多いと聞く。あの山は確か、大実山だった。


あの裁きののち釜戸社かまどのやしろの祝に許されて。山に、他に村が無ければ良いとか、なんとか。



守り戦に強く、村どころか、山にすら入れなかった。


戦慣れしているだけ? いいや違う。何が何でも守ると、力を尽くしたのだ。



「行くしか、あるまい。」


気になると言えば、牙滝神きばたきのかみ。御力が弱く、御成り遊ばしたか? 通り過ぎた時、感じた畏れは。


代替わりされたとしても。まぁ、良い。憑いたのなら調べ上げ、妨げになる前に消す。


しき望みを抱く事も。しかし強いたとして、おにが黙って従うものか。魂を剥がし、根の国へ叩き込むだろう。



「探る前に、結ぶとはな。」


気掛かりと言えば、釜戸社が重い腰を上げた、北山の闇について。


二つの力を持つ子を産ませるため、あちこちから祝や子を、攫い集めたとか。


閉じ込め、騙し、そそのかし。生まれた子に力が無ければ、闇を纏わせるため、死にたくなるまで虐げ続ける。幾人いくびとか、ちたとか。



「悪い話では無かろう。」


その中の一人が、牙の滝から飛び降りた。


助ける前に、谷河の狩り人に拾われた。そののち、良村の犬好きに。顔見知りだったらしい。


釜戸山に迎えに行くと言い、干し肉と竹筒を渡した。それまで重かった足取りが軽くなり、狩り人が驚いた。



「どちらに付く。」


良村に戻って、話し合ったのだろう。暫くして、長と犬好きが釜戸山へ向かった。守り長からザッと話を聞き、引き取る事に。帰りに仔犬を一匹、譲り受けていた。


早稲から逃げ出せたとはいえ、良村の者は歪んでいる。深く傷つき、話せない子もいるそうだ。


引き取られた子を守る事はあっても、虐げない。



「どちらにせよ。」


子が幸せに暮らせるのなら、それで良い。


引き取られた子に憑いた隠が、蛇神なら。譲り受けた仔犬が、子から離れなければ。祝の力が強すぎて、子が育つまで眠っていたなら。


こじらせる前に、後見うしろみになる。しくは、忍びの結びに加わる。いづれも、難しいか。



ひのは、流れに乗る。」


忍びの結びが付けられた。仕掛けず、裏切らぬ。それだけ。


良村は、守り戦に強い。戦い慣れている。どう足掻こうが、かなわない。



「月も、同じく。」


良村から仕掛けたり、裏切る事は無い。早稲から生きて、逃げ出せた。それが全てだ。



「梟も、続く。」


早稲は、悪い話しか聞かない。


良村は新しいが、馬守が付いた。近いだけでは付かない。後見は、釜戸社。流れに乗り、見守ろう。


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