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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
282/1633

6-116 絶望しかない未来


なっ! そうまでして、おにの力を欲するか。



心消こけしにも居るだろう。難しければ祝か、使わしめを頼れ。霧雲山から隠れ続けたのだ。何かしら・・・・・・。


力が弱まっているとしても、深い山の中。攻めにくく、守りやすい。それでも頼るのは、なぜだ。




沢出神さわいでのかみ。使わしめと共に、深い眠りに。



沢出社さわいでのやしろの祝が、先読さきよみの力を使って、いろいろ防いでいる。使わしめに代わり、守り務めている妖怪には、目眩めくらましの力が。





「驚かず、聞いてほしい。」


沢出の祝は見た。いくら読んでも、避けられないわざわいを。


先見さきみ先読さきよみの力は、全く違う。見て、選べる。先を選んで、見る事が出来る。






禍が、霧雲山の、南の地を襲う。


山裾の地に、血の雨が。続いて山狩りが行われ、多くの里や村、国が滅ぶ。唯一ただひとつ、良村よいむらだけが残る。


選んでもえらんでも、生み出される果ては、同じ。




大実山、いや。良山には、妖怪の墓場が在る。あそこに眠るのは、巻き込まれて死んだ妖怪たち。


妖怪の墓場を通れば、隠のときへ行ける。疲れ果てた隠たちが、穏やかに暮らしている。他とは違って巻き込まれたなら、人でも迎え入れる。



獣谷の隠れ里と良村は、互いに助け合いながら戦う。



暴れ川から来る敵に勝てないと見切り、獣谷の隠れ里から良村へ。守りを更に固め、戦うも見切り、隠の世へ。


憑いた子が望み、はじまりの隠神が、保ち隠に御話し遊ばす。



受け入れが決まるとぐ、良山ごと切り離す。誰も、立ち入らせないように。



わざわいが去り、落ち着いてから戻る。


良村だけでなく、獣谷の隠れ里の人も皆、生き残る。いつまでも和やかに、穏やかに暮らすのだ。





「心消の長。祝は他に、何を見た。」


立ち合いだ。見守るつもりだったが、このままでは。


心消は何かを、隠して居る。弱いくらいで、結びなど求めぬ。もっと何か、霧雲山がらみの、何かが!


「何を見た!」


人に化け、ギロリ。


「申し訳ありません。」


心消の長と影の忍頭が、バッと平伏した。





霧雲山の統べる地の南。


鳥の川、暴れ川、崖の川から、大国おおくにが・・・・・・。多くのつわものを引き連れ、攻め入ります。


始めは、押し戻します。しかし続かず、多くの血が流れます。



狩り人も釣り人も、きこりも死に絶えるのです。


山裾の地は血沼ちぬと化し、生き残りは。その・・・・・・。年に関わらず、なぶられます。



真っ先に捕らえられるのは、祝です。祝女も祝人も、力を持つ子を生み出す物として、扱われます。


産むのは、命懸けです。祝女が少なくなると、他から攫われた娘が。



皆、穏やかで優しい。


何も分からず攫われてきた娘に、酷い事なんて出来ない。それでも祝人は、強いられるのです。





勢いは弱まる事なく、北へ北へ。そして、霧雲山の北の地でも、南の地と同じ事が。


それでも、霧雲山は動きません。もりとて祝。神のおおせには、背けない。



『決して戦わず、助け合い、話し合って鎮めよ』とおっしゃり、こもられた山守神やまもりのかみ。祝や禰宜ねぎが何を申し上げても、ダンマリ。




やっと許しが出ますが、遅すぎました。


祝辺の守は、隠の守を解き放ちます。しかし、隠の守でも・・・・・・。


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