6-116 絶望しかない未来
なっ! そうまでして、隠の力を欲するか。
心消にも居るだろう。難しければ祝か、使わしめを頼れ。霧雲山から隠れ続けたのだ。何かしら・・・・・・。
力が弱まっているとしても、深い山の中。攻めにくく、守りやすい。それでも頼るのは、なぜだ。
沢出神。使わしめと共に、深い眠りに。
沢出社の祝が、先読の力を使って、いろいろ防いでいる。使わしめに代わり、守り務めている妖怪には、目眩ましの力が。
「驚かず、聞いてほしい。」
沢出の祝は見た。いくら読んでも、避けられない禍を。
先見と先読の力は、全く違う。見て、選べる。先を選んで、見る事が出来る。
禍が、霧雲山の、南の地を襲う。
山裾の地に、血の雨が。続いて山狩りが行われ、多くの里や村、国が滅ぶ。唯一つ、良村だけが残る。
選んでも択んでも、生み出される果ては、同じ。
大実山、いや。良山には、妖怪の墓場が在る。あそこに眠るのは、巻き込まれて死んだ妖怪たち。
妖怪の墓場を通れば、隠の世へ行ける。疲れ果てた隠たちが、穏やかに暮らしている。他とは違って巻き込まれたなら、人でも迎え入れる。
獣谷の隠れ里と良村は、互いに助け合いながら戦う。
暴れ川から来る敵に勝てないと見切り、獣谷の隠れ里から良村へ。守りを更に固め、戦うも見切り、隠の世へ。
憑いた子が望み、はじまりの隠神が、保ち隠に御話し遊ばす。
受け入れが決まると直ぐ、良山ごと切り離す。誰も、立ち入らせないように。
禍が去り、落ち着いてから戻る。
良村だけでなく、獣谷の隠れ里の人も皆、生き残る。いつまでも和やかに、穏やかに暮らすのだ。
「心消の長。祝は他に、何を見た。」
立ち合いだ。見守るつもりだったが、このままでは。
心消は何かを、隠して居る。弱いくらいで、結びなど求めぬ。もっと何か、霧雲山がらみの、何かが!
「何を見た!」
人に化け、ギロリ。
「申し訳ありません。」
心消の長と影の忍頭が、バッと平伏した。
霧雲山の統べる地の南。
鳥の川、暴れ川、崖の川から、大国が・・・・・・。多くの兵を引き連れ、攻め入ります。
始めは、押し戻します。しかし続かず、多くの血が流れます。
狩り人も釣り人も、樵も死に絶えるのです。
山裾の地は血沼と化し、生き残りは。その・・・・・・。年に関わらず、嬲られます。
真っ先に捕らえられるのは、祝です。祝女も祝人も、力を持つ子を生み出す物として、扱われます。
産むのは、命懸けです。祝女が少なくなると、他から攫われた娘が。
皆、穏やかで優しい。
何も分からず攫われてきた娘に、酷い事なんて出来ない。それでも祝人は、強いられるのです。
勢いは弱まる事なく、北へ北へ。そして、霧雲山の北の地でも、南の地と同じ事が。
それでも、霧雲山は動きません。守とて祝。神の仰せには、背けない。
『決して戦わず、助け合い、話し合って鎮めよ』と仰り、籠られた山守神。祝や禰宜が何を申し上げても、ダンマリ。
やっと許しが出ますが、遅すぎました。
祝辺の守は、隠の守を解き放ちます。しかし、隠の守でも・・・・・・。




