表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
278/1634

6-112 任せるのと、丸投げは違う


ひの、月、梟、雲、影。五つの忍び。耶万やま大王おおきみ、次の大王、めかんなぎおかんなぎ風見かぜみおさ。一人づつ、あやめました。


一度ひとたび戻り、天霧山で話し合いました。南より攻め入る大国おおくになど、引かせるために、何が出来るかを。



「その事、知られたか。」


「はい。」



天霧山、矢弦社やつるのやしろにて。平良ひらに乗ったおにもりが、言伝ことづてを。


「『集まった忍び。霧雲山、祝辺へ。残らず呼べ。』良いな。」


そう言い残し、消えました。




集まったのは皆、忍頭。



あの守の事です。集めたにもかかわらず、霧雲山のためにと、考えるでしょう。そして、当たり前のように使う。


忍びの結びは、それぞれの忍びが、里や村を守るための結び。霧雲山を守る物では。にも拘わらず、使い捨てるでしょう。



木菟ずくも鷲の目も、強い。しかし耶万に。霧雲山の統べる地は、木菟と鷲の目。他の地へは、忍びの結びを使う。あの守なら、そう考えます。




「で、知られたのか。」


「いいえ。しかし、気付いているのでしょう。」



雲に会ったのではなく、天霧山に集まった。そこから、三人と考えます。日吉山、釜戸山、乱雲山には居ない。山平にも緋美あけうまにも。となれば、隠れ里。


知られているのは、六つ。遠野、山中、小出。奥山、裏岩、獣谷。いづれにも居ない。



山裾の地の外。山に在るなら、陽守やもりと大平。どちらにも居ない。であれば糸遊いとゆふ、見空、水月。つまり天立山、星海山、月見山となります。


どの山も高く、広い。幾らでもぐ、隠れられます。



「蛇神様。心消こけしは霧雲山に付く気など、全く御座いません。叶うなら良村よいむらとの、強い繋がりを。」


「シゲ、シン。二人は、どう思う。」



祝辺の守が守りたいのは、霧雲山。統べる地を守る気が有るなら、隠か妖怪を付けたハズ。


戦が終わって、開かれた長の話し合い。霧雲山から来たのは、山守の長一人。


長の集まりだから来なかったのではなく、関わる気が全く、無かったのだと思います。



あの時。ブラン様が化け王の目として、見届けられた。アンリエヌの王が、遠く離れた地の話し合いを、です!



守は祝、王とは違う。違うが、なぜ見届けない。集めたクセに、なぜ来ない。


それぞれの長が話し合って、決めろ?  信じて任せるのと、丸投げするのは違う。





「オレも、良いかな。」


シンが控え目に言う。皆、頷いた。



オレは商いで、あちこち行きます。行った先で、必ず言われます。『良村から誰か、来てくれないかな』って。


言い方は軽いんですが、目で訴えるんです。頼むって。



話を聞くと、『霧雲山が後見うしろみなのに、木菟も鷲の目も来ない』って。


深い山の奥や、入り組んだ谷の奥です。そうそう来られないでしょうが、忍びなら行けるでしょう?



地が震えたのちに起こった、あのいくさでも。・・・・・・誰も、一人も寄こさなかった。


それで、思ったそうです。『何のための後見だ。何を守ってるんだ。守る気あんのか』って。だから『霧雲山も祝辺の守も、当てにしない』と。


溜息をきながら、そう言うんです。



山の奥にある里や村には、祝が居ます。隠や妖怪から、いろいろ聞けるそうで。霧雲山を攻めた時、守の力で倒したと。



「オレ、思うんです。そんな事が出来るなら、戦を止められたんじゃないかって。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ